第20話ゴールデンウィーク③紗理奈とデート

祝3.5万PV、☆200、フォロワー700人を達成することが出来ました!!


本当に皆様のおかげでここまで来ることができました。改めてありがとうございます!



この物語を読んで1人でも多くの方に『障害』というのは蔑まれるマイナスよりも、人と人との繋がりで生まれるプラスがあるとういうことが伝わりますように………



そういう願いを込めて、作者はこの物語を書いていることをどうか頭の片隅にでも置いて読んで下さると大変嬉しく思います。



長々とした前書きを読んでくださりありがとうございます。


では、本編をどうぞ!!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


お花見した日の夜………


水希が龍星の介助をあらかた終えて、自分の家に帰ってから、紗理奈が龍星の部屋にやって来た。



紗理奈は軽く龍星の部屋のドアをノックしてから静かに入る。


「にぃに、ちょっといいかな。」


と言うとどこか神妙な面持ちで尋ねる。


それを不思議に思いつつも、龍星は頷き、自分の部屋に置いてある椅子に座るように言う。



「……それでこんな時間にどうしたんだ?」


と言うと、恥ずかしそうに紗理奈は俯きながら、


「実はさ……にぃににお願いがあるんだけど、いいかな?」


「俺にできることならな。」


と、龍星が言うと若干嬉しそうな仕草をした紗理奈は


「明日………私とデートしてほしいの!」


急にそんなことを言われたため、龍星も呆気に取られた。


「へっ!? デートって言ったか?」


「うん。やっぱりダメかな?」


「まあ、別に嫌では無いけど、紗理方が俺なんかと行って楽しいか?」


と、龍星が言うとものすごい剣幕で紗理奈は首を横に振りながら、

「楽しいもん!それに、にぃにの目が覚めてからゆっくり兄妹でどこか行くとかなかったからさ………。」


その真剣な表情を見て、龍星も真面目に

「………わかったよ。ちょうど、明日水希も用事があって来れないって言ってたからな。

それで、どこか行くとこ決まってるのか?」


と言うと、紗理奈はガッツポーズをして、

「にぃに、ありがとう!

行くところは大体決めてるよ!

だけど、明日のお楽しみね!」


そう言って、紗理奈は自分の部屋にスキップをしながら戻るのであった。



ーーーーーーーー

(紗理奈視点)


私は、にぃにと約束してから速攻で自室に戻って、安堵からかドアを閉めるとそのまま身体を預けるようにして倒れ込んだ。


「………断られなくてよかったぁぁぁぁ。」


と思わず心の内から言葉が漏れる。



(にぃになら断らないって自信はあったけど、いざ面と向かってデートのお誘いするのはこんなに緊張するんだ…………


それに分かりきってたことだけど、デートの日水希ちゃんがいるかのことを考えてた。


やっぱり、水希ちゃんに相談していてよかったかな。)



というもの、朝のお弁当作りを終えた頃に紗理奈が水希に対して、明日一日龍星と一緒にデートしたい、という旨のことを相談していたのだった……。

それに対して、水希も快く了承して、今に至るというわけだった……。


(明日は絶対、にぃにが楽しいって思ってくれる1日にするんだ!)



と紗理奈は心の中で誓い、自室のクローゼットを開けて、明日着ていく服装の吟味を始めていくのだった…………。



ーーーーーーーー


(龍星視点)


朝、起きて紗理奈に着替えを少し手伝ってもらいつつ準備を進める。



準備を進めていく上で、一番驚いたことだったが、なにせ紗理奈の準備の手際の良さが異常なレベルだった。


俺の介助を手伝いつつ、自身の身だしなみを着々と完璧にこなしていく。


それに感嘆の気持ちを抱きつつ、玄関で外出用の車椅子に乗り換えて、駅に向かう。



駅に向かう道中、


「紗理奈の今日の服装とても似合ってるな。」


何気なく思ったことを言っただけだったのにその言葉に紗理奈はたいそう嬉しそうに

「………ありがと。にぃにもかっこいいよ。」


「……………おう。」


そんな感じで話していると駅に到着する。


「それで、今日はどこに行くんだ?」


「ふふっ、着いてからのお楽しみだよ。」


と紗理奈は言って、電車に乗る。



電車に揺られること30分………


目的地に着いたようで、俺たちは電車から降りて、紗理奈に車椅子を押してもらいながら移動する……。


歩くこと、10分ほどすると……

「ここって…………」




到着したのは県内でも有名な動物園だった。



「えへへっ、にぃにって昔から動物好きだったから、ここに来たら楽しいかなって。」


「あぁ、そうだな。動物園は来たことなかったからとても楽しみだ。」



「そう言って貰えて嬉しいよ!

早速中に入ろう!」



と言って、俺たちはチケットを購入して園内に入った。



園内に入ると、目の前には大量のフラミンゴが俺たちを出迎えてくれる。



「あれ、フラミンゴだ!

生で見たの初めてかも!」


「そうだな。フラミンゴってめっちゃ綺麗なんだ。でも、この独特な匂いは凄まじいな」


「それね!この匂いは私もちょっと苦手だな。」


なんて言って俺たちは思わず互いに顔を見合せて微笑み合う。



「じゃあ、早速次に行ってみるか。」


「そうだね!まだまだ始まったばかりだよ。にぃに、早く行こう!」


と言って、再び歩み出す。



それからは、初めて見る実物のゾウやキリンの大きさに驚いたり、ライオンやトラの迫力を楽しんだり、と動物園を満喫した。



ちょうどお腹が空くお昼頃……


「ここら辺でお昼ご飯にしよう!」


と言って紗理奈は自分の持っていたカバンから包みを出す。


「これって…………紗理奈の手作りか?」



「うん…………まだ、ママや水希ちゃんに及ばないけど、頑張って1人で作ったの。」


そう言うと紗理奈はそのつぶらな瞳を向ける。


「そうか………ありがたく食べさせてもらうよ。」


「うん!」


と言って、包みを開ける。


中に入ってたのは、卵焼きや唐揚げをはじめとしたおかずや、サンドウィッチなどの手頃に食べれるものまで様々だった。


俺は、爪楊枝を使って唐揚げをひとつ口に入れる。

口に入れた瞬間お肉の濃厚な脂が口いっぱいに広がる。

「………美味しいよ!」


その言葉に、紗理奈は安堵の表情をしつつ


「……そう言って貰えて嬉しいな。」


それからはあっという間に残りのお弁当を2人で平らげるのだった。




午後からは、ペンギンの餌やりを見たり、うさぎに触れ合ったりと残りのスポットを2人で楽しくまわった。



最後にお土産が買えるお店を見つけて、2人で入ることにした。



「にぃに、これ見てよ!めっちゃかわいい!」


と言って持ってきたのは腕に抱えれるくらいのペンギンのぬいぐるみだった。


「……そうだな、たしかに可愛いかも?」


「あ、それ絶対思ってない時のじゃん。

にぃににはこのぬいぐるみの可愛さがわからないんだねぇ?」


と挑発気味に俺にそう言う紗理奈。


「まあ、俺にはあんまわからないけど……」


と言って、紗理奈の手からそのぬいぐるみを取り、膝の上に置くと、左で車椅子を操作して、レジへ向かう。



紗理奈は突然のことに呆気に取られ、

「え………ちょっ……にぃに?」


それをスルーしつつ、俺はレジにそのぬいぐるみを置き会計を済ませる。


慌てて俺のそばに来た紗理奈に向かって


「俺にはこのぬいぐるみの可愛さはわからないけど、紗理奈が可愛いと言うなら、これは兄からの今日一日の感謝の気持ちを込めた贈り物にさせてもらうよ。」



と言って、今さっき買ったばかりのぬいぐるみを紗理奈に渡す。



紗理奈は、それに思わず涙を浮かべながら


「……………ありがとう。

絶対大切にするね……。」


と言ってぬいぐるみを両手でしっかりと包み込むのだった……


そんなこんなで家に帰ると、紗理奈は黙ってすぐに自分の部屋に走って向かうのだった。



ーーーーーーー

(紗理奈視点)

そんなこんなで、私は家に帰ってすぐさま自室に入る。


ドアを閉めてからベッドにダイブする。

もちろん、にぃにに買ってもらったぬいぐるみを抱きしめて。



(あぁ、今日は失敗だったのかなぁ。

にぃにを喜ばしたかったのに、逆に喜ばされてどうするんだ、私。


ちょっとからかおうとしたら、あんなにかっこいいことするんだもん、反則だよ。)


と、心の中で思いつつ、ペンギンのぬいぐるみを抱きしめる力が強まる。



(分かってはいたけど…………

にぃにが、心の底から笑う時はいつも水希ちゃんがいる時だもんね。


私には、弱音や悩みすらにぃには言わない。それは『妹』だからだ。


本当はめちゃくちゃ悔しいけど…………


これは、認めるしかないよね。



本当の意味でにぃにを救って、幸せにできるのはあの人しかいないんだから。)




そう自分に言い聞かせて、眠りにつく。



(私の気持ちなんてどうでもいいんだ。



だから、これ以上にぃにが苦しまず、幸せな生活を送るためなら、私のこの気持ちはそっと閉まっておこう。)



その夜は、満月が彼女をそっと照らすかのように、暗闇の中に一点の光が差し込むのだった………。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いかがでしたか?


紗理奈は妹として頑張ることを決意したようです……。


次回は、ちょっと久しぶりなあの人たちが登場します。


出来れば、今日中にもう1話投稿するのでよろしくお願いします!


面白い!続きが見たい!と思ってくれた方は、応援、フォロー、☆☆☆などなどよろしくお願いします!


では、次回もお楽しみに!!










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