episode 002

さらに私の場合、普通のエージェントではない。

普通のエージェントがどんなものなのか、知っている人は少ないと思うが、ひらたく言うと分析官のようなもの、映画などで描かれているCIAエージェントはあくまで想像の世界のエンターテーメントである。

そもそも国家機密に属する内容が映画で正確に描写されるわけがないのだが。


でも、私の場合は事情が違った。

大まかに言えば映画で描かれているとおりだ。

つまり、ひとを殺すことを徹底的に叩き込まれた殺人マシーンとして育成されたのだ。

なぜ自分が選ばれたのかわからない。

特に身体能力が高いわけでも、語学力が優れているわけでも、高身長でも男前でもない。

しいていえば、”だから選ばれた”のだと思う。

ハリウッドスターみたいなCIAエージェントはいない。

目立ちすぎて仕事にならない。

CIA”特殊”エージェントに求められるのは、ただひたすら周りに溶け込みやすい見た目とそれぞれの分野における特殊技能だ。

また、任務遂行には様々な人種がいた方が便利だ。


殺人マシーンとして育成されたと言っても、一応特殊部隊なみの訓練はうけるものの銃を打ちまくったり、スナイパーというわけではない。

そんな殺し方をすれば、すぐにニュースになってしまう。

アメリカ国内であれば、国家権力を使って隠蔽することもできるだろうが、CIAの活躍の場はほぼ国外に限られているので国際紛争に発展しかねない。

国内で暗躍するのは国家安全保障局の連中だ。


ではどんな殺すテクニックを叩き込まれたのかというと、身近にあるものを利用して確実に殺すこと。

人間が生活している場は、様々なものにあふれている。

例えばごく平凡な家庭でも、人を殺す道具に困ることはない。

別に大きなガラスの灰皿で殴ったり、包丁で刺殺したりしなくても、電気コードで首を絞めたりボールペンで後頭部を刺したり、最近は気軽にもらえなくなってしまったがコンビニのレジ袋だって窒息死させるのには十分だ。


それに加えて、CIAで独自に開発された特殊武器の数々。

これについて語りだすと、その数が多すぎて時間がいくらあっても足りない。

007やミッション・インポッシブルの小道具を想像してもらうとわかりやすいかと思うが、そのミッションによってその都度用意されるのだ。


じゃあ、やっぱり映画と同じじゃないか、と思うかもしれないが、しいて言うなら映画ほど進歩はしていない。

近いものもありはするものの、映画の中ではやはり行き過ぎなものが多い。

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