襲来

大寒波

碧波と白翔が北海道から埼玉に来て初めての冬、この年は例年以上に寒いといわれていた。


クリスマスイブ前日、天気予報で雪の影響で北海道から鹿児島まで平地で交通機関で影響が出ると予想されていた。そして北海道は早々と前線運休を決定する。


昨年まで函館に住んでいた2人は運休するほどの雪ってどれたけ積もるのか。


北海道の冬は雪が降るのは当然でちょっとやそっとでは電車やバスが止まることはまずない。そう考えると函館や釧路の実家が心配。


首都圏はどうかというと平野部で積雪のおそれがあり、通勤通学には気をつけるようにと警鐘を鳴らすくらい。気動車のないのに大丈夫なのかと考えていた。


翌日、アシスタントさんたちは来られるのか。朝起きて決めるしかなかった。


午前6時、碧波は起きると外は白銀の世界に包まれていて天気予報を見ると終日雪予報。


所沢駅に来る途中で運休になっている区間があり、予定の時間に来られない可能性がある。途中でケガをしてしまったり来たはいいが帰れなくなる可能性が高い。


そのことを考えて碧波はグループラインで雪で電車止まっているし危ないので今日と明日のスケジュールを変えるねと送る。


すると優しいアシスタントさんたちは天気予報見て近くの宿やマンガ喫茶等に泊まればしていればこういうことにはならなかったと優しい言葉をかけてくれた。


テレビの収録や学祭などで碧波がスケジュールを変えることが増えてきた。


有難いことではあるがその一方でアシスタントさんだって自分たちのそれぞれ予定がある中で文句を言わず予定を変えるから、時間をずらせれば大丈夫ですよと答えてくれる。


それだけマンガ家赤松碧波のことそして作品のことを好きでいてくれているし、少しでも携わりたいと思っていてくれている証なのかなと勝手に感じていた。

みんなの予定が会う時にご飯でもご馳走様してねぎらいたいと感じていた。


年末年始と成人式を避けて予定の空いてる日を選択出来るようにして赤松碧波主催のあけましておめでとうございます会をしたいから大晦日までに連絡するようにと併せて送信をする。


その日中に返ってきて翌年の1月8日に決まる。


アシスタントさんたちがどんな年末年始を送り、年が明けて1週間経ってどう思うか。自分の抱負やマンガ家赤松碧波をどうすればもっとよくなるのかの目標を語ってもらおうと色々考えていた。


せっかくならどこか貸切ってご飯を食べながらビンゴ大会とかやったら盛り上がりそう、そうなると景品は何にするか。


楽しむなら碧波もアシスタントさんもやってよかった、参加してよかったと思われるようにしたいと考えていた。


寒さは慣れっこ

お昼を過ぎても未だに雪は止まない。


白翔は碧波に声をかける。函館を出ても雪を見るとは思わなかった。でもさ、向こうなら翌日も雪が見れても所沢で次に雪を見れるのはいつか分からない。


寒いと言っても函館の寒さに比べれば所沢の寒さはそこまで苦にはならない。せっかくなら雪遊びをしようと誘う。


碧波はパジャマからピンクの長袖のトップスに水色のミニスカートに着替え、白翔は黒のセットアップで近くの公園に向かう。


高校生を卒業した男女が雪遊びをするのはと考えたが雪合戦をしだすとそのことすら忘れる。


周りには誰もおらず横を素通りする人はマフラーや手袋をして足早に過ぎ去ろうとする。


雪だるまやかまくらを作っているとある場所に行きたいと感じるようになる。


それは北海道にあるイベント、さっぽろ雪まつり。全国各地から集まるイベントだが道内にいる時にはタイミングが合わず行けていなかった。

動画のネット配信をすればみたいなと感じていた。


1時間ほどして近くのスーパーに行って晩御飯の買物に行く。聖なる夜だからいつもとは違うものを食べたいなと感じていた。隣にいる白翔に尋ねる。

オードブルとお寿司を4人前とインスタントクラムチャウダーを買って家に帰る。


陽が沈んでもまだ雪が止む気配を感じがない。


早めに晩御飯を食べてゆっくりした夜を過ごしていた。碧波はマンガ家、白翔は編集社で働いていて中々2人での時間を過ごすことは少なくなってきた。


碧波は久しぶりに何もせずゆっくりテレビを観ているといきなり白翔が手を繋いできた。


隣を見ると顔を赤面している白翔がいる。何歳になっても愛おしくて好きでいてくれる姿がとてもかわいい。


碧波は翌日、アシスタントさんが来るから早めに起きて準備をしなきゃいけないが中々寝かせてくれない。今年のクリスマスイブは今日だけだよ、もっと一緒に夜を過ごそうよと甘い声で囁いてくる。


付き合っているのに中々恋人らしいことも出来ていないこともあり、出来る限り要望に答えようとする。


気がつけば既に朝を迎えていた。隣を見ると口を開けて寝ている白翔。起こしてベッドで寝るように促す。


眠い目を擦りつつ仕事をする。アシスタントさんが来る時間となり、それまでに終わらせることが出来た。休みたい、寝たいという思いもあるが他にもやらなきゃいけないことが沢山ある。


何度か欠伸をしているとアシスタントさんに寝ずに描くってスゴいですね、寝ずにずっと自分の作品を考えるってさすが人気マンガ家ですね。


単に同棲している彼氏と一緒にいて寝れずに朝になっとは到底言えなかった。

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