第20話 黒髪の死神
呪いが消える。ショウコさんが落下する。
「うおっ、大丈夫ですかっ」
セトが受け止める。あの全てを包み込むようなお姫様抱っこで。
ああ分かった。私はセトだけを愛せばいいんだ。
「呪いの無効化、ね」
「敵が減ったな」
「敵…」
僕は今、敵を盗聴している。やっぱり盗聴なんて気分が悪い。でも僕にはもう分からないんだ。これが正しいのかどうか。
「セトに盗聴器を持たせて正解だったわね。あの子定期連絡とか向いてなさそうだし」
「色々済んだらこっちから連絡すればいい」
セトさんには会ったことがない。僕より2歳年上で、なんというか、すごい。
「それにしても恥ずかしくないのかしらね、あんなの聞かれて」
ううう。僕が恥ずかしいよ。きっとすんごいイケメンなんだろうな。『どっちの方が心配?』なんてどうやったら聞けるんだ。ううう。
「さて、まずはこれを済ますか」
タイガさんがポケットからナイフを取り出した。それを机に置き、両手をかざす。僕に子を継承した時と同じように、何か喋ってる。
「いやっ」
思わず変な声が出た。ナイフの中から黒いスライムみたいな塊が強い光を放ちながら飛び出した。人が入れるサイズ。聞いてはいたけれどびっくりしてしまう。
「ふふふ、さすがね、真の能力の使い手、黒髪の死神さん」
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