第3話

 どうしようどうしようどうしよう……


 通話相手はパニックになってしまい同じ言葉を繰り返すばかりだ。

 このままいてもらちが明かないのでとりあえず声をかける。



さん!」



 活動名と(恐らく)本名であろう名前で同じの「さき」の名前を呼ぶ。



「っ!?あ……ごめんなさい……」

「落ち着いてくださいね、とりあえず深呼吸して?」

「は、はい……」



 どうやら落ち着いてくれたようだ。

 さて、どうしよう……



「あ、あの……」



 悩んでいたら向こうから声をかけてきた。



「私から声かけさせていただいたのに、本当にごめんなさい……」

「いやいや、ゲーム自体何回かやったことはあれど配信しながらするのは初めてですもんね。俺だって緊張くらいしますし、しょうがないです。さっきのはなかったことにしましょう?」

「はい……ごめんなさい」



 もう聞こえてくる感じからして頭を机に擦り付けてそうな感じだが……



「さきさん?」

「はい?」

「知り合ったばっかでこんなこと言うのもあれですが、折角可愛い女の子から言われるなら、ごめんなさいよりありがとうが嬉しいですよ」



 そうおどけてそういって見せる。



「あっ……今日はゲームのお誘いを受けていただいてありがとうございますっ」



 虚をつかれたように声を上げ、先ほどに比べたらやや明るい声でお礼を言われた。



「さ、もう時間ですしそろそろやりませんA〇EX?」

「はい!」



 最初より緊張していなさそうだし一先ず安心かな~。



「それじゃあ配信付けますね」

「了解」



 そう、今回の約束は配信付けた状態でとのことだった。

 個人Vの男と企業Vの女が一緒にやるなんて正直問題しかなさそうだが、どうしても放っておけなかったからな……



「えと、みなさんこんにちは。Moon&Star所属の花嵐咲です―――」



 これからどうなるかなぁ……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る