第13話 カナシイキオク

ゴオオ


ガタン


ガタン


電車内に沈黙が訪れていた。音のない地雷を踏でしまったトンマは電車の振動を足先で感じながら口を開いた。


「あ、、ブラディさんすいません!!

俺まずい事いっちゃいました⁈」


カチッ


ジッポのライターが開けられ火が放たれた


「気にするな…。」


アメリカンマイルドの先に灯された

炎は無炎燃焼を起こし700度でブラディの

口に向けてジワジワと浸食を始めた。


フゥゥゥ


煙が舞う。


「……ヒカリは…死んだ…。」


「すいません!!余計な事いいました!

ほんまにすいません!!」


トンマは地に額をつけて土下座をした。


「こいつ思った事なんでもいっちゃうんです!

悪気はないんすよ!ほんとに申し訳ないです!」


カンザスとチンギスも続いて謝罪をした。


荒くれ者に見える3人組の誠意ある姿勢に

カゲルは少しグッときた。


「かまわねぇ…昔の話だ。俺とヒカリは

シャドウワークスでバディを組んでた。

あいつは闇の国では珍しい光の能力…。

影の力によって削られたものは全て修復した

俺の能力はその逆、銃弾に闇を詰め込んで

打ち込み膨張爆発させる力だった…。」


「奥さんだったの?」


「戦争が終わったらワークスはやめて二人で暮らすつもりだった…。だが、ギガノケイオスは

強すぎた…。レックスのカラダにそのデカブツを上空に飛ばせる翼、ヒトの知能、AIの計算力

火、風、雷、放射線全ての能力が異次元だった…。」


「やべえ、、!!そんなの勝てるわけないじゃないすか?!」


驚くトンマのターンを伺いながら煙をもて遊び

ブラディは続けた。


「ヒカリの能力はさっき説明したな…。

カゲルのお前ならどうやってギガノケイオスを倒す?」


「うーん。ヒカリさんの能力が光による

影のキズの修復なら、逆に敵に使えば

力を抑えられるんじゃない?」


数秒空を仰ぎカゲルは答えた。


「さすが勘がいいな…。その通りだ…。

だが肝心のやつの装甲を破るのに難儀した…。

ギリギリまで追い詰められた俺らは…。」


ブラディが口をつぐんだ。


そして、乾いた口唇から更に渇いた言葉が空に跳ねた。


「ヒカリは自ら銃弾になり俺に放たれ、ギガノケイオスの心臓に飛び込んだのさ…。

そしてヤツを極限まで収縮させた…。

生まれたばかりの黒猫くらいまでな…。」


「黒猫⁈もしかしてブラディのクロックバレットって⁈」


「察しがいいな…。それ以降俺はヒカリの能力

を受け継ぎ、それは影の中でミックスされ時間をブッ飛ばす拳銃になったわけだ…。」


「すげぇ!!クロックバレットにはそんな逸話が、、、ハッ!!すいません!!」


自制心を一瞬で飛び越えてきた好奇心を土下座させ、トンマは閉口した。


「昔話はやめにしよう…。おい!トンチンカン!お前ら話してやったんだから黒龍討伐を

手伝え!ファーゼノンのガキどもも能力使いだ…。力はなるべくさらしたくねえ…。

いけるか!?」


「ガッテンだ!!」


トンチンカンは息のあったコーラスワークを見せた。








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