俺は答えを見つけられのるか…あるいは既に答えを出しているのか、そんな俺の3年間

黒木黒乃

第1話俺の独白

 桜が満開の時期になった。暖かい光が桜の木に射し込む。少し肌寒く感じる心地い風によって散る桜の花は誰の心も奪うものだろう。こういう日に花見ができればなんてよいものだろうか。まあ、花見なんて今の時代は行う人は少ないのかもしれないが。どちらにしろ、今日という特別の日を考えれば、喜ばしいことなのかもしれない。

 俺はそんな感慨に耽りながら自分の通う高校への道を歩いている。耳にはちょっとお高いBluetoothイヤホンを耳につけ、最近のトレンドの曲を聴きながらだ。今日は入学式ということもあり、ほとんどが知らない奴だ。片道1時間の高校を選んだのでそれはどうしようもないことなのかもしれないが。とりあえずは、この人ごみにさりげなく混じるにはイヤホンをつけての登校はベターな案だといえよう。こんなことを考えている時点で俺は世間のいうところの陰キャというやつなのかもしれない。しかし、これぐらいで陰キャというのなら日本人は全員陰キャなのではないだろうか。だって、普通に考えてみてほしい。友達すらいない見知らぬ土地に来たのだ。もしこの人ごみの全員が新入生だとしてもいきなり、「チョリーッス、俺、白亮つくもりょう!これから同じ高校に通うもの同士、仲良くしようぜ」なんて後ろから声をかけた日には「こいつ、いきなりなんだ。キチガイだ。キモ」と思われてもしかたないと思うんだ。だからあたかも自然な流れで自己紹介をするほうがいいに決まっている。俺は間違っていない。I am justice.

 さて、こんなくだらないことを考えてないで少しはこの新しい学生生活に思いを馳せようではないか。今度は入学初日から普通に通えているのだから。俺は中学の入学式、さらに言えば中学1年間、病気?それともけが?どちらで呼べばいいかわからないが1か月に1回ペースで手術をしていたため通えなかったのである。そんなわけで中学はいじめ自体には合わなかったが、なんというか、哀れまれていたのかよくわからないがクラスメイトから距離を置かれていた。もちろん、小学校からの友達もいたが俺自身あまりしゃべらない人間だったので学校行事や部活動での切磋琢磨的な会話しかしていなかった。自慢じゃないが、友達と遊ぶという行為は全くしていない。…別に後悔してないし。

 話がそれすぎた。まあ、要するに「入学初日から通えてるぜ!ヒャッハー!」ということだ。

 ああ、もう少しで学校についてしまう。過去に思いを馳せているだけではないか。せっかくだから着く前に、高校生活の目標だけでもいいから立てよう。


 …とりあえず、何でもいいから自分にがほしい。


 こんなの人生が終わって誰かが価値を決めるのかもしれない。さらに言えば、人間誰しもが持つ永遠に考え続けなければ解けない問題なのかもしれない。でも、高校生にもなったんだから誇れることの一つくらいなら何かあってもいいじゃないか。…俺にはない。正確にはあったが上には上がいると思い知らされた。

だからほしい。

 

 俺だけの価値っていうやつが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺は答えを見つけられのるか…あるいは既に答えを出しているのか、そんな俺の3年間 黒木黒乃 @kurono_kuroki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ