第37話 文化祭⑤ ~終幕、そして冬へ~
“フィナーレ”の時間が終わり、クラスに戻ると瑞希たちが近づいてきた。
「あの、おかげでカラメルと付き合うことになりました……」
「よろしくです……」
何かまだ慣れなくて恥ずかしいけれど、とりあえず俺とカラメルは皆に報告した。
すると、
「カラメルちゃんに負けちゃった。でもこれからもよろしくね。私たちはずっと友達だから」
と言う真緒。
「うん、もちろん!」
「真緒、改めてこれからもよろしくな」
こうして言ってくれるのは本当に嬉しい。まだ俺たちの関係性は終わりじゃない。
「斗真、おめでとう。次は俺の番だな」
これは祐樹らしい言葉だ。最近は、瑞希との仲も順調そうだしな。
「斗真君、喜ぶのは分かるけど恩も忘れないでね?」
あっ、そういや瑞希にも色々と協力してもらったんだっけ。それの返済をすっかり忘れてた。
「今後、馬のように働かせていただきます」
「よろしい」
こうして俺たちのストーリーは一つ終えたような……そんな気がした。ただ俺たちの人生も平均的に考えればまだまだだし、今後も色んな事が起きるだろう。
ただ、壁にぶつかっても大丈夫だ。俺には友達も恋人もいる。暗闇で不安だらけの人生だけど頑張って生きていきたい――
「ううぅぅ……寒っ」
季節はもう12月になった。冬も本格的に始まった気がして、ここ最近特に寒い。12月といえば、修学旅行、クリスマス、大晦日とイベントがたくさんある。
修学旅行は九州で、民泊や遊園地やいろんな体験をする流れとなっている。非常に楽しみだ。
クリスマスは、カラメルと2人で過ごす予定だ。まぁ、こういうの初めてで何したらいいか全然分かってないんだけどな……
大晦日は、皆で集まって年越しパーティーをする予定だ。ちなみに開催所は瑞希の家だ。本当に色々よかったな。
「よし、今日も頑張るか」
昔は、毎日憂鬱だった。でも今は毎日が楽しい。不安はあるし、怖さもある。けど俺には支えてくれる人がいるから。
「おはよう、斗真」
「おはよう、カラメル」
俺とカラメルは毎朝一緒に登校している。同じ時間帯の電車で会って、高畑駅で降りて学校に行くまで、ずっと手を繋いでいる。
まぁ、祐樹には
「バカップルだな。こうはならねぇぞ」
って言われたし、瑞希には
「斗真君。もっと勉強とかも頑張ったら?」
と嫌味を言われてしまった。まぁ、その通りでもあるんだけど。
カラメルと交際して約2カ月。やっと慣れてきた、って感じだ。相変わらずいじられたり、色々言われることもあったが、最近になってなくなってきた。まぁ今度はバカップルいじりされてるんだけど。
「今日、修学旅行の詳細とか確認事項の話でしょ? 班も決めたけど楽しみだなぁ」
もうすぐ修学旅行ということで、修学旅行関係の話が多くなってきた。ちなみに班はいつものメンバー5人だ。
「1日目は民泊なんだよなぁ。不安すぎる」
民泊は男子と女子でそれぞれ2人、もしくは3人のグループを作ってランダムに泊まるところが決められる。これももちろん、俺と祐樹でグループを組んだ。
「斗真と離れちゃうのかぁ。残念だな」
「まぁ、1日の我慢だ」
「2日目からは、ずっと一緒にいようね」
2日目からは、班で自由行動するのが多くなる。遊園地はカラメルが絶叫系大好きだから怖いんだよなぁ。
改めて今は幸せだと感じる。友達がいて恋人がいて。
全ては瑞希とのあの出会いからだ。美少女を無視したら、青春が始まったという夢みたいな話で。人生何があるか分からないな、と思う。
まだもう少し俺の青春はちょっとだけ続く……
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