第35話 文化祭③

 文化祭2日目。今日は一日仕事がなく、自由だ。そして告白する日でもある。


「おはよう、斗真。今日は、その、よろしくね?」 

 

 今日はカラメルと一日文化祭を楽しんで、最後に告白する予定だ。改めてドキドキしてきたな……


「こちらこそよろしく」


 そして文化祭2日目が始まった――




 まずは、コンピューター部の格闘ゲームをすることに。


「こちらは、コンピューター部がプログラムしたゲームです。まぁ、昔先輩が作成したゲームなので出来は保証しかねますが」


 コンピューター部の部員であろう眼鏡をかけた男子が説明してくれる。


「うわっ、凄っ! ねっ、見てみて! 凄いね斗真!」

 

 カラメルの言う通り、生徒が作成したとは思えないぐらいの出来だ。天才プログラマーでも昔学校にいたのかな。


「ちっ」


 おいこの眼鏡男子舌打ちしなかった? まぁ、気持ちは分かるけどさ。


「で、このゲームは格闘ゲームです。戦闘キャラは全て漢字になっておりますので、好きな感じを選びください」


 なんで漢字なんだよ、とツッコミたいが、どうせわからないのでスルーする。



 こうしてカラメルと対戦することに。俺が選んだ漢字は、“人”で、カラメルが選んだ漢字は“鬱”だ。どう戦うのかは分からないが、3本勝負でとりあえずやってみることに。


「よし行くよ~! 斗真、負けないからね」


「望むところだ」

 俺もゲームは好きだし、負けたくないから全力で行くぜ。



 こうして、ゲームがスタートした。


「うおっ、これ面白いな」


 このゲーム、地味に作りこまれていて凄く面白い。漢字、という独創性と、部首やはらいなどの漢字の個性を攻撃方法などゲームに取り込んでいて面白い。


「いけ! “人”の蹴り! かましてやれぇぇえ」

 どこぞの先生が発狂しそうだな。


「斗真、なかなかやるね……でも私気づいちゃった」

 カラメルはニヤッとして、そう言った。


「ほう、やってみろよ」


 するとカラメルの“鬱”が、俺の“人”を壁際に押しやった。


「見ててよ?」


 なんてことでしょう。俺の“人”がはめ技を食らっているではないか。


「おい、やめろ! その“鬱”のカタカナのミみたいなところではめ技するな! おおおおおおおおおいいぃぃぃぃいい」


「学生が作ったからこそ、ガバがあるってね」







「えへ、ありがとう」


 ゲームに負けた俺は、カラメルにタコ焼きを奢っていた。


「まさかあんなハメ技があるとは……まぁでも楽しかったな」


「せっかくだから、私のクラスの休憩所で食べる? 分けてあげるよ?」

 カラメルが提案する。


「いや、色々噂になるだろ。それは色々面倒だし」


 俺としては、しっかりと伝えたいし。噂になって色々ダメになってしまったら、台無しだ。


「そっか」

 カラメルはどこか悲しそうな表情をしたので、


「せっかくなら静かな方がいいだろ? 今日は2人なんだし」

 と俺は言う。


「斗真……!」

 カラメルは再び笑顔になる。



 その後はお化け屋敷に行った。


「まぁ、どうせ生徒が作ったものだし。だ、大丈夫だろ」


「その割には斗真ビビってるね?」


「気のせいだろ」



 ここは漢にならなければならない。カッコいい姿を見せなければ。


「リアジュウ、コロス。オレラガタオス」


「うわぁぁぁぁぁ!」

 そんなカッコイイ姿を見せるのは無理でした。あとなんか私情みたいな怨念が入っていたような……



「あはは! 斗真、めっちゃビビってたねぇ」


「はぁ、なんでこうなるんだ」


 カッコイイ姿を見せることは、なかなか難しい。




 そうして楽しい時間は、どんどんと過ぎていった。

 いよいよ“フィナーレ”の時間が近づく。


「あっ、そろそろ片付けしないと」


「カラメル、その必要はねぇぞ」


「えっ、そうなの?」


「ああ。カラメルに話がある」


 さぁ、勝負の時間だ――




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