第24話 体育祭⑥ ~終幕~

 体育祭。準備から当日まで様々な事があった。ただ、体育祭は終了しても、俺にはまだやる事が残っている――




 放課後。体育祭の片づけや来間の事などを説明した後、俺は気持ちを言うために、

カラメル、真緒、来間、小鳥遊を呼んでいた。


 ちなみに俺らのクラスは、優勝した。リレーで男女共に1位を撮ったことが大きいようだった。

 来間の件も上手く解決したようだ。ハルがナツを労わってくれたし、来間にも謝ったそうだ。来間も、


「殴られたことは許せませんけど……そうやって重く愛してしまう、とても大事に思う気持ちはわかるので。また、自分を見直してください」

 と言ったらしい。本当に強い子だ。


 ハルは、また色々話したい事がある、ということで今度のゴールデンウィークで深く話すことを約束した。


 と、ここまでが体育祭終わりまでの流れ。次は、恋愛についてだ。



 俺に気持ちを伝えてくれた4人に俺も気持ちを伝える。

 カラメルや真緒は、俺の優しさに惹かれた、と言っていた。後輩達は、気になる先輩、と少し曖昧だが、気持ちを伝えてくれた。


「まずは色々あってお疲れ様。特に後輩2人は大変だったな……来間は大丈夫か?」


「大丈夫、といったら多少嘘になるかもしれませんけど……落ち着きました」


「そうか。今日言うべきじゃないかもしれない、と思ったが約束もしたし、今から俺の気持ちを伝えようと思う」


「「「「……」」」」」

 4人は黙って俺を見る。


「まず、後輩の2人。好き、というよりもちょっと気になるっていう感じだと思う。けどそれも嬉しいし、それで恋愛が始まることも多い。まずはありがとう」


「「……」」

 後輩2人はじっと、俺を見てる。


「来間は、色々あったけど強い子だし、とても可愛くて魅力的な女の子だと思う。小鳥遊もそうだ。ちょっと生意気だけどな」


「ありがとうございます」

「ちょっと生意気なのは許してほしいっすね。まぁ、でも嬉しいっす。そう言ってくれて」


 本当に魅力的で良い後輩に出会えたな、と思う。


「次に真緒」

 と言うと、真緒がぴくっと少し動く。


「隠れて見てくれいて、俺の魅力に気づいてくれてありがとう。俺の事を認めてくれてありがとう。それでいて、気さくでとっても良い子だと思う。改めてありがとう」


「いやいや、そんなことないよ! 嬉しい」

 そう言ってくれると、俺も嬉しく感じる。


「最後にカラメル」


「うん!」

 カラメルは元気よく返事をする。


「カラメルは一番関係が長くて、喧嘩とかも色々したけど……元気があって、優しくて、いつも俺を笑顔にさせてくれる。そんな子と親友になれたこと、好きだと言ってくれたことがとても嬉しい」


「斗真……」


 そして俺は、いよいよ気持ちを伝える。


「とりあえず、これが俺の皆に対する気持ちだ。何回も言うけど、本当にありがとう。その中で、俺の告白、というか気持ちを伝える」


「「「「……」」」」

 4人は固唾をのんで、俺を見ているようだった。






「ごめん!」




「「「「え?」」」」

 4人が気の抜けた声で、ハモる。



「皆の気持ちは嬉しい。けど、俺が納得できない。俺自身、どうしてもコンプレックス、というかやっぱり釣り合ってない、とか思っちゃうんだよな。だから、とりあえずごめん」


「えっ、それってどういうこと?」

真緒が質問してくる。


「俺は、もっと立派な人間になりたい、人生を楽しみたい、並び立てる人間になりたい。俺のエゴだ。だから、一旦断る、っていう選択をした」


「へぇ、斗真やるじゃん。こんなかわいい子を多くキープするとはね?」


「意地悪言うなよカラメル……よく考えたんだから。確かに俺が返事できるのはいつになるか分からない。けど、俺も成長したい。だから、皆も協力してくれるか?」


「全く、先輩はしょうがないっすね。まっ、それが先輩の個性でもあるんすけど」


「まっ、でもアプローチとかはできるし。斗真、覚悟しててね?」

 カラメルが、いやーな表情で見てくる。怖いな……




 こうして体育祭は終わり、俺らの物語は進み始めた。


 俺も動き出そう――

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