第11話+α 居場所

「なんで、あんな事言っちゃったんだろ……」

 私は、唐沢芽瑠。ちなみに愛称は、カラメルだ。


 私は、最悪なことを言ってしまった。それが嫌いな人や関係ない人なら、別にいいんだけど……

 言ってしまった人は、親友であり、好きな人で。本当は言いたくもないのに止まれなくて。



 理由は色々ある。まぁ、結局は私が悪いんだけど。

 

 いつも斗真の隣は私、ってのがあった。本当に楽しかった。

 最初出会ったときは、面白い人だなと思った。祐樹からの紹介、っていう感じでだんだんと仲良くなっていって……いちいち反応が面白くて。

 なんやかんやで優しくて、面白くて。いつの間にか好きになってた。


 けど瑞希が現れた。最初は驚いたなぁ……

 斗真と瑞希は似たようなタイプて意気投合するのもおかしくはないな、って思った。

 瑞希と仲良くできる事は嬉しい。けど、斗真の隣は私だけだと思ってたのにな。



 さらに、真緒も現れた。真緒とはたまに話してたりしてたけど、こっちも驚いたなぁ……

 さらになんか急に距離感詰めてる気するし、むかつく。

 でも結局これは、私のエゴと油断で。

 斗真の魅力を知ってるのは私だと思ってた。


 

けど、リレーの練習の時に瑞希と真緒が話しているのを聞いてしまった。


「あのさっ、瑞希って安佐川君のこと好きだったりする?」


「それはわからない、けど良い人だとは思ってます」


「やっぱり侮れないなぁ……安佐川君のこともよく知ってるし、分かってるね」


「そういう真緒さんは?」


「私は好きだよ。大好き。安佐川君ってネガティブだけどさ、いい所もたくさんあるんだよ」


「結局優しいのが斗真くんだからね」


「まぁ、安佐川君はさ、結構人生について抱え込んでる所もあるけど。私が支えたいんだ」


「……私も。今度は私が、斗真君に新しい世界を見せたいんです」




私はこの会話を聞いて言葉が出なかった。私が一番最初だったのに、2人は深くまで入り込んで。私は何にもわかってなかったんだな、って知って。





 ただ、理由はこれだけじゃないよ! これだと私がただの重い女になっちゃう。

 実は、私の両親は離婚していてさ。私は、お母さんの方についていった。けど、本当は元に戻ってほしくて。

 今もたまに会ったりはするけど、喧嘩ばかり。私の気持ちとか何も考えてない。


 それでこの前、お母さんが新しい男の人とデートしていたところを見てしまった。それから帰りも遅くなって。飲まなかった酒も飲み始めて。


 ただこれらは完全な私の八つ当たりだ。けど、さ居場所が欲しいんだ。私がいれる場所が。




 人生って、難しいね。そう思いながら私は、スマホを見る。久遠さんを新たに加えたレイングループだ。メッセージのやり取りをもう一度懐かしく思いながら、振り返って、泣いて。


 私はそのグループを抜けた。


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