第21話
「デカいなぁ……」
居住区から戻ってきた俺達はウィンディタスクの本社、いや本部の大きさに改めて驚かされた。
「むしろ地下がメインですのでもっと大きいですよ」
地上部分だけでもすごい大きさで移動に車は必須なレベルだった、この前強襲した研究所より遥かに広い。
「こんなの作ってるなんてわかってたら各国が黙ってなかったですね」
「うん、絶対問題になってた」
「バレなきゃなんとかってやつです、それに現行技術で一企業がこんな基地作れるなんて思いもしませんからね」
実際、現代地球の技術でこんな基地考えられない。そもそもドロイドの存在が不可能に近いのだから何でもありな気がする。
「とりあえずザラタンは地下ドックに入港してますのでそこに向かいましょうか」
あの超ド級のザラタンが入ってしまう基地なのだ、想像より遥かにデカい基地みたいだ。
「あ、丁度いいタイミングに帰ってきたわね!」
突然レイカさんからの通信が入った。
「バラット君、ちょっと地下第一演習所で模擬戦してくれない?」
「急ですね、どうかしたんですか?」
「いやね、ちょっと馬鹿共を黙らせるのに必要なの、お願い!」
なにかの案件でデータが必要になったのかな、レイカさんは俺達が不利になるようなことはしないだろうし協力したほうがいいだろう。
「いいですよ、俺一人でいいですか?」
「問題なしよ、たぶんバラット君なら一人で大丈夫でしょうし」
俺達は行き先を地下第一演習所へと変更しエレベーターを起動した。レクティス二機にウォンバット一台を乗せてもまだ余裕のある大型エレベーターがゆっくりと動き出した。
「ほんとすごいハイテク施設」
「ホントゲームやってるみたいな環境だよな」
エレベーターは上下だけでなく左右にも稼働しながら目的地へと向かって動いていく、後で基地の地図を見せてもらおう。絶対迷う……
「そろそろ着きますよ」
しばらくしてエレベーターが止まる、扉が開くと通路に繋がっていた。俺は真っ直ぐと通路を進んで行く。
「私達は折角ですし観戦しましょうか」
「賛成」
「あ、レミィちゃん戦闘のデータ収集お願いしてもいい?」
「あ、はい。大丈夫です了解しました」
「ありがと! 助かるわぁ!」
通路を進んで行くと巨大な広場へと出た。そこには五機のレクティスが立っていた、白をベースに頭部や肩部、胸部がオレンジ色に塗装されている、実験や試験に使われる機体のカラーリングだ。
「テスターですか?」
「そそ、その五機と戦ってほしいの」
「五対一ってバラットさん不利じゃないですか?」
「バラット君の腕なら問題ないでしょ!」
つまりこの位の敵は倒して欲しいということなのだろう。
「ちなみに私達の担当機じゃないし、敵機全部壊しても構わないからね」
「えっとそれは……」
流石に演習で人殺しをするつもりは無いのだが。
「大丈夫、全部無人機だから容赦無しに破壊しちゃって!」
「あの、俺の命は?」
「大丈夫!」
超不安!! 実弾使用の演習とか普通に本番なんだが……
「死んだら怨みますからね!」
切り替えて正面を見つめる。敵は五機、二機は頭部に後ろに伸びるブレードアンテナを装備した少し形態が違う。何か意味があるんだろう、そして五機ともこちらと同じ装備をしていた。
「準備はいいわね! それでは模擬戦開始!!」
合図と同時に五機は銃を構え、一斉射撃してくる。狙いは勿論俺だ、こっちは銃を腰にマウントしたままだって言うのに容赦ない。
「そりゃ数の暴力で瞬殺狙いますよねっ!」
俺は機体を一気に加速して右回りで旋回距離を詰めていく。通常機は純粋に俺を狙い、角付きは偏差射撃で当てようとしているが反応が遅く間に合っていない感じがする。
「まず一機!」
一気に距離を詰め、両腰のナイフを抜き放ち一番右に居た機体の腹部と左肩を貫いた。
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