第2話

「私、大葉とチーズの豚肉巻き食べたい」

ゆずはいつもそれから頼むな。もっと焼き鳥とかから頼めばいいのに」

「だって好きなんだもん」

「ふうん。飲み物は?」

「んー。ビール?」

「わかった」

「要はなに飲むの?」

「俺?俺はウーロン」

「え?飲まないの?」

「今日、呼び出しありそうな感じだから」

「そっか。なんかごめんね、私だけお酒飲んじゃって」

「気にすんな。いつものことだろ」


要の職業はお医者さん。休みの日でも医学の勉強をしていたり、病院から呼び出しがきたりするから、本当に大変そうだなって思う。でもそうやって努力を惜しまないところも好きだなあって思う。


料理を適当に頼むと、お通しと飲み物が最初にやってきた。


「乾杯」

「乾杯」


グラスを合わせると、ガラスの重なる音がした。ビールを一気に喉に流し込むと、疲れた体にアルコールが染み渡る。キンキンに冷えたビールが、私の体を生き返らせる。仕事のあとの一杯は、本当に最高だ。


「おいしい~」

「それはよかった」


要はふわっと笑顔を漏らした。ようやく、今日初の要の笑顔を見ることができた。彼の蕩けそうな笑顔が好きだ。


三枝さえぐささんは元気?」

「めっちゃ元気だよ。今日もまだ残業やるって張り切ってた」

「そっか。元気ならよかった」

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