義妹の愛の手料理

 今日の晩御飯は、夢香の手料理。

 ブラックペッパー多めの炒飯チャーハンとギョーザだった。


「夢香は相変わらず、濃い味のものが好きだよな」

黒色ブラックが好きなせいかもねえ」

「色かよ。まあ、この方が美味いけどね」

「でしょ~。男子は濃い方が好きだよね」

「まあな。この方が腹も膨れるし。本当はもっと良い食材とか買えれば良いんだけど」


 もう少しお金があったのなら良かったけど、残念ながらバイトは週一で働いているホームセンターの収入があるくらいだ。


「そうだ、お兄ちゃんにばかり負担掛けられないし、夢香もバイトするよ」

「う~ん、それは助けるけどね。例えば?」


「パパ活とかえっちなお店とか?」


「絶対にダメ! そんなところでのバイトは許しません」

「そっかぁ、高収入って聞いたからさ」


 おいおい、誰だよ夢香にそんな情報を与えた奴。悪影響だろうが!

 夢香はまだ高校二年生なんだぞ。


「俺を心配させるな。約束だぞ」

「うん、分かった。普通のにするね」


 とはいえ、高校生で出来るバイトなんて限られているけどな。一番無難なのはコンビニだろうか。

 俺は接客無理だけど。


「分からないことがあったら言ってくれ」

「そういえば、お兄ちゃんバイトしてるもんね」

「あぁ、ホームセンターだけどね」


 アパートから十五分ほどの距離にある『タイタン』というお店だ。接客はほとんどなく、商品の管理や品出しとか裏方業務なので助かっている。


「ていうか、ウチの高校ってバイトしていいんだ」

「理由があればオーケーだってさ。ちゃんと許可貰ってるよ」

「へえ~。そっかそっか」


 夢香のヤツ、なにか企んでいそうだ。

 変なバイトだけはしないで欲しいが。



 * * *



 朝を迎えた。新しい朝だ。

 起き上がろうとすると重みがあった。……ん? おかしいな。


 布団を剥がすと、俺の上には――制服姿の夢香の姿があった……!?


「って、夢香ァ!?」

「おはよー、お兄ちゃん」

「いつの間に潜り込んでいたんだ」

「早朝からずっとだよ。お兄ちゃんの寝顔って可愛いよねっ」


 そんな朝早くから居たのか。

 まあいいか、この笑顔には負ける。

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