最新29話まで拝読してのレビューです。
魔物事件編が終わり、倭州回想編に入っています。
主人公は、とある理由から目が見えなくなってしまったルクス、そして彼を支える女魔導士ミーナ、二人が互いに支え合いつつ、旅を続けながら、ルクス自身の、そして世界の謎を解き明かしていきます。
広大な冒険譚です。しっかりと構築された世界が目の前に広がり、冒頭はその説明に終始しています。昨今のテンプレ作品とは一線を画す、骨太作品です。
だからこそ、丁寧に読む進めていきたい作品です。流し読みには適しません。確かに、改行されているものの、行間は詰まっていて、一見重厚に見えますが、文章は平易で、リズム感もあって、読みにくさはありません。
倭州回想編になってからは、今のところ、ルクスもミーナも登場しません。いずれどこかで絡みがあるのか、その辺も気になるところです。
二人の冒険は、これからどんどん広がっていきます。まだ始まったばかりの作品、タイトルをどのように回収するのか楽しみです。
ぜひ手に取って、読み進めてください!
盲目の少年ルクスが再び光を得て目にした、押し寄せる瘴気。襲い来る魔物。そして、村の壊滅。
序盤からルクスに降りかかる悲劇に、息が詰まりそうになりました。そんな中、ルクスを助け共に生き延びた神火宗の修士ミーナが、ルクスを支えていきます。
ルクスは盲目になっていた時ですら腐りきらずに生きており、ものの考え方に賢さを感じる少年です。旅の道すがら、自身の考えの及ばなかった事態に陥ることがあっても、それを教訓に前を向ける心の強さを持っています。
ミーナは正義感のある良心的な明るい女性。
この二人が旅を通して支え合っていく様は、とても微笑ましく思いました。
世界は西洋風ではありながら和のテイストもあります。
タグに世界中を渡る冒険、とあるので、これから多種多様の国が登場するのかもしれません。
魔術に関しても独自の設定が成されており、とても興味深く楽しむことができます。
ルクスとミーナ、そして彼らを連れて旅に出ようとしているクレイリア領主のアラドラド卿。更に加わってくる、異国の姫君。
まだまだ物語は序盤でしょう。
これから始まる彼らの旅の行方が、楽しみでなりません。
それは読者にとっても衝撃ではあると思いますが。
主人公の不幸から始まり、それは一過性のものではなく彼を長くむしばみ続けます。
そうされた所為でなのか、自己肯定感の低い主人公は、けれど他者の否定には走りません。
精一杯真っ直ぐに立とうとする姿は、けなげで見ているこちらも勇気づけられます。
同じ気持ちになるのか、作中で彼に同行する女性がそんな彼を支えていてくれるのが救い。
こう書いてくると絶望感が滲むかと思いますが、本人たちはそんなことなく、ただ精一杯元気に前向きに生きていこうとしています。
世界観の説明の長さに耐えられれば、彼らの生き様に共感して読み進められるかと思います。
幼少期、とある男に魔法をかけられ視力を封じられた少年ルクス。
10年間、家族のお荷物として悲しみの中に生きてきた彼の人生が、ある日唐突に変化する。
村が瘴気に覆われ、魔物の大群に蹂躙されたのだ。
そして、彼の視界が戻る――大いなる力と共に。
住む場所を追われたルクスは、彼を守る正義感に突き動かされた若い女性ミーナと共に、自分に魔法をかけた男を探し出し、その理由を知るために旅立つのだった。
――というのが、できる限りネタバレを排除したあらすじです!
お分かりいただけるように、色々と謎が散りばめられています。
小さな村で過ごしてきたルクスには、誰がこの世界を統治し権力を握っているのか、そうした構造もよくわかりません。
一緒に旅することになる心優しいお姉さんミーナとて、多少ましなくらいで陰謀なんて知る由もない。
一体何が隠されているのか? ルクスがなぜ選ばれてしまったのか? それを知りたくて、先へ先へと読み進めてしまいます。
家族から疎んじられていたために自分に価値を認められないルクスに対し、何ごともあきらめないミーナはよきパートナーと言えるでしょう。といってもミーナは保護者目線で、恋愛に発展するような仲ではありません。
ミーナと心を通わせるうちに少しずつ変化してゆくルクスを見るのも楽しいはずです。
彼の中にはどんな力が封じられているのか、そして世界の陰謀は? ぜひお読みになって確かめてください!
序盤の4の1まで読んだ感想です!
とある理由で目が見えない主人公・ルクスくん。
家族にも疎まれ、唯一味方で居てくれる母親も罪悪感からという孤独。そんな環境の中でも彼は、礼儀正しくとても良い子なので、素直に応援したくなります!!\(//∇//)\
ネタバレになるので大部分は伏せますが、とある状況下で自分を置いていくように促すシーンは地の文章と合わせて、ルクスくんの健気さに泣きたいような、もっと自分勝手に生きて欲しいような……!!(ミーナさん!!本当にグッジョブ!!!)
謎が一つ解かれたら、また新しい謎が出来る怒涛の展開。どうしてルクスくんの目は見えなくなったのか?「魔王」とは?目が離せなくなる事請け合いです!!
正直、物語を1話や3話で見切りをつけてブラバする人にはお勧めできない作品です。なんてたって「そういう人がタブー」っていう1話での世界観の説明があるのですから。
でも、私はこういう「世界観」を最初に語ってくれる小説はすごい好きです。そして、この小説みたいに徐々に「世界を広げていく」小説は好きです。この小説は丁寧に丁寧に読んでいくことによって、作者の語りたかった本心とかがおぼろげながら見えてくる作品だと私は思っていて、そういう作品は私は狂おしいほど好きだったりします。
さて本題、この物語は、「一人の盲目の少年」と「ある魔導士」が物語をけん引していきます。そして、二人は出会い、そして、行動をともにしていきます。徐々に広がる世界、徐々にわかっていく事実と現実。そして、二人は、そんな世界の中で、さまざまな決断をし、さまざまな物語を紡いでいくのです。
ね、面白そうでしょ?じっくり腰を据えて読んでくださいね!