第55話 自治体が消滅するというニュースの無意味さ

 24年の4月24日、人口減少により消滅する自治体が全体の4割に…というニュースをマスコミは一斉に報道していますが「何をいまさら」ですね。人口が減れば当たり前の話です。


 で、対策の例としてあげるのが人口が「現在増えている」自治体です。増え方の要素としては「手当が厚い、住みやすいから人口流入がある」ところを紹介しています。これは本気で考えているんでしょうか?


 若い夫婦が流入してくれば当然そうなるでしょうけど、それは他の地域からそういう人を奪っているだけで日本としての解決策としての寄与度は極めて低いです。大切なのはそういうカップルが「2人以上子供が生みたくなる自治体」なのか、です。人口流入による統計の変化は、まあ、住みやすい街という指標にはなるかもしれませんが、そういうカップルが都市部のマンションに住めば、子供は1人か2人。平均すれば2人を超えないでしょう。大事なのは2人か3人にすることです。

 これはジェンダー指数とか女性の平均給与とかそういう数字にも言えますが、数字の前提となる制度・仕組みはどうなっているのか、どういじると何が変化、改善するのか全く考えていない証拠です。


 また「人口問題研究所」が消滅自治体の定義として妊娠出産が可能な女性が半減すること、としています。これはちょっと首をかしげます。だって、100万人の人口が半減したとき、当然出産可能な女性が半減します。ですがその女性たちの平均出産数が2を超えていれば集団の健全性は維持されます。


 逆に言えばこの消滅都市の指標を使っていること自体、考え方そのものが対策に寄与していないということです。人口が減っている、を言い換えているだけでしかありません。

 自治体が人口減少で困っているなら、研究・主張すべきは「女性が2人以上生む生き方を是とされる社会をどうやって作るか?」です。



 この問題、実は年金を考えればわかりやすいのですが、逆ピラミッドになるから不健全なのです。一つはもちろん年金の問題です。年金を個人のプール式にせず、後ろの世代が負担するという考え方できたので人口減少が困るだけです。年金制度をリセットしてしまえばいいわけです。健康保険組合の経営も破綻が出るらしいですが、老人の比率が増えれば当たり前です。まず、老人への予防注射とか投薬とかを減らせばいいのではないでしょうか。


 そもそもを考えてみましょう。実は年金の問題、経済規模・成長の問題さえなければ人口減少は別に悪いことではありません。環境、食料自給率、原子力発電所などの問題は片付くし住居は広々するでしょう。結果として住みやすくなるのでそこから人口は増えるかもしれません。日本の再生を田舎を起点としてこの状況をどううまく利用するか、です。それが消滅自治体を研究する意味でしょう。


 食べ物を世界から集めることはできなくなるでしょう。消費のピラミッドが減るから当たり前です。逆に言えば我儘に世界のあらゆるものを消費する日本の流通・貿易は非効率なのです。それを内需型にすれば種類は減りますが品質は上がるでしょう。


 土地、株式などの資産を持っている人は東京の地価が下がるし、株は低迷するでしょうから資産の目減りはあるでしょうが、知ったことではありません。昔みたいに追いつけ追い越せで、勉強してモノづくりの国で生きてゆけばいいんです。


 住みやすいからと都市に集中してマンションに閉じこもっているから、子供の平均も増えないし、老人たちは孤独になって病院に行くのです。不健康にもなります。地方に若い女性を住まわせて、広い自然な環境で子供を作ってもらい、老人がその子供の面倒を生きがいにする。これを実現するのが国造りです。こういう国策の提言がないですよね。


 それができないのは東京の土地の値段を下げたくない資産家の思惑だし、企業がマーケット規模を拡大したいという話です。

 女性を「消費」=「幸せ」、「労働」=「権利」、「東京」=「かっこいい」と言いくるめているだけです。女性をだまして「消費する機械」に仕立てているのです。その言葉を隠すために「女性の権利」と言い換えているからです。「妊娠出産する機械」をネガティブに喧伝しているのです。





 








 



 


 

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