第4話

 転生して十回目の誕生日を迎えた。

 灰色の髪、緑色の瞳、伸びた髪はポニーテイル。ワンピースの上にローブを羽織り、髪にお花の髪飾りをつけて、両親に誕生日の日に貰った、マジックバッグをかけお弁当をいれた。


「ママ、エルブ原っぱにいってきます」

「エルバ、あまり遅くならないで帰ってくるのよ。変な人にもついて行かない」


「はーい、わかってる!」


 家から徒歩十分くらい、外壁近くのエルブ原っぱに向かった。基本、魔女、魔法使い達は薬に使用する、薬草などは温室、庭で作っている。


 ウチにも温室、庭はあるけど。ママは危険な薬草もあるからといって、入る許可は貰えなかった。


 だから見つけた。都市の外壁近く、みんなが畑で育てている薬草のタネが飛び、知らない間に育ち原っぱになった――エルブ原っぱを。


 ――おまたせ!


「昨日はその辺の薬草を調べたから……今日はこの辺に決めた!」


 と、マジックバッグからシートをだしひき、芝生の上に寝っ転がった。私の能力は植物に特化しているらしくて、初めて発見した薬草と植物を教えてくれる。


 私だけのスキル――物知り博士がいる。


 


 ❀


 


 ――この能力に気が付いたのは七歳のとき。

 家に飾られた紫の花を見て「この花は、なんていうのかな?」と気になった瞬間、頭の中に声が聞こえた。


《この花はフル草と言います》


 ――フル草?


《花びらを天日干しで乾燥させ、煎じてお茶として飲めば疲労回復いたします》


 お茶? 

 疲労回復?


《フル草の種をどうぞ》


 種? 目の前には白く光るタネが浮いていて。

 そのタネを取ると、目の前に畑の画面が現れた。


「エルバの畑?」


《この種を畑に植えてください》


 声の通りに画面に種をかざすと、手の中のタネは消えて、畑に新芽が生えフル草は花を咲かせたのだ。


《採取をするときは、花をタップしてください》


 声に言われた通り画面をタップすると、畑の花は消えて、育った花が目の前に現れた。

 

《一度、調べたものはその場に採りに行かなくても、エルバの畑で永久に採取できます》


 畑に採取したはずの場所に、フル草の花が咲いていた。採取したものはマジックバッグから、アイテムボックスにいれられる。


 ――凄い、ゲームみたいだ。


 学生時代は勉強ばかりで働きに出るまで、ゲーム機、スマホもなくてゲームで遊んだことがなかった。


 植物を調べるのが好きだったから嬉しい。


 私はこの声を"博士"と名前をつけた。

 エルバの畑は便利だ――もっと、この世界の薬草を知りたくなり、両親に薬草図鑑を買ってもらった。


 しかし図鑑でみる薬草に博士は反応せず、タネも貰えなかった。


 図鑑でみるだけではだめ? ――となると、実際に自分の目で見ないといけないのか。両親に図鑑をみて薬草に興味を持ったから調べたいと言うと、家から近くのエルブ原っぱに通うことを許してくれた。


 初めてみる薬草ばかりの原っぱは楽しい。

 博士、この三角の葉っぱの薬草は何。


《これはトンガリ草と言います》


 目の前にタネが現れて、それを受け取り畑に植えて、この草の効能を聞いた。


《脂肪燃焼の効果あり、食用で炒め物、おひたしとして食べられています》


 この草はダイエットに効くのか……女性の味方だな。原っぱを歩きまわり紫色の草を見つけた。

 

 この薬草は。


《これはフク草といいます》


 色といい、効能を聞かなくてもわかるけど……一応ね。


《食しますと体が痺れる麻痺草の一種です》


 タネは植えても画面上にはなく、違うページに植えられていた。


 この草は食べちゃダメなのは知っている。

 生まれもった体質なのか毒草、痺れ草が効きにくい、私は博士に聞かずに口に入れた。


 すぐにピリピリしてきて、体の自由がなくなる。


「痺れた……」


 この痺れが切れるまで"お昼寝するか"と、そのまま仰向けに目を瞑った。

 

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