整った文体と巧みな描写で織りなされる、淡く美しい物語

 幼馴染の冬木に恋をしている女子高生の小奈津は、ある日雑貨屋で綺麗な髪飾りを買う。一方、高校では奇怪な事件が続く。どうやら髪飾りは不思議な力を発揮するようだが・・・。そして、気になる冬木との恋の行方は・・・⁈

 日本風の怪奇ファンタジーと学園系の恋愛要素が見事に調和しています。
 文章は簡潔で無駄がなく、それでいて情景や心情はしっかりと描かれてあり、私はすっかり感情移入してしまいました。物語全体の長さもちょうど良く、話が上手くまとまっています。読んでいて快いです。

 そして、絵的にも本当に美しい! 描写が優れているため、情景を想像することは難くないのですが、どの場面もとにかく素敵です。もちろん、描写が多すぎることもなくて、よい程度に空想の余地が残され、情景を想像するのが楽しいです。

 私の言葉ではまだまだこの作品の素晴らしさを表現し尽くせません。是非、本文を読んでみてください。