記憶を無くす前に書いた僕宛の手紙

 君がこれを読んでいる頃、きっと僕はもう記憶を失っているんだろう。


 記憶をなくそうと思ったきっかけさえも、きっと忘れてしまっているんだろう。


 どうか、これを読んでいる君が、もう二度と同じ苦しみを感じない為に、僕はこの手紙を書いた。


 君は、君自身のことが嫌いだった。


 理由はとても簡単。


 周りの人が君を愛さなかったからだ。


 そして何より、君自身が君を愛せていなかったからだ。


 君には良いところが沢山あったはずだった。


 はずだったのに、君は君自身でその良さを潰した。


 周りに合わせることで安心感を得て、


 自分自身を押し殺すことで、うまくやれていると勘違いしていた。


 そうじゃないんだ。


 君は君らしく、僕は僕らしく、生きてほしい。

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何気ない言葉で救われることもある 梅雨日和 @tsuyuhiyori

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