四次元道具箱の謎

小屋の入り口へグリーナ達が着くと、赤うさぎはドアを開け親指をくいくいと中へ差した。

「あれ、グリーナあの鍋とか道具うちらのと同じだぜ」

「本当だ、見たことあるやつばかりだ。それにしても汚いね。枝やら蝉の死骸やら大木やら」


「お!ま!え!ら!だーーー!」

赤いウサギは両手を振り上げ何度も天に突き刺した。


「おい、グリーナそのリュックに手を入れてみろ」

「なんで初見で呼び捨てなのよ、まぁいいわ」

グリーナがリュックに手を入れる。

赤ウサギは小屋の天井を指差す。


先程まで普通の丸太の天壁だった場所が筒状の空間になり、そこから一本の手が出ていた。

「そんで、その手をグーパーしてみろ」

グリーナがグーパーすると天井の手もグーパーした。


グリーナ達は驚きとも感動とも言える悲鳴をあげた。

「あのなぁ、前から文句言ってやろうとしていたんだ。お前ら道具は粗末にするし、ぶん投げてくるし、終いには枝やら大木やらぶち込みやがって」

「それで、あんなに怒っていたのね」のグリーナの言葉に全員で爆笑した。


「笑えるかーー!お前達の道具やら武器のメンテナンス誰がやってると思ってやがるんだ。この一流道具屋、赤ウサのポラッタ様のおかげなんだぞ」


「たしかに、毎回道具が綺麗になってんだよなぁ」

ムジナが苦笑いでポラッタに会釈した。

「しかし、うさぎさんはなんでこの空間の管理されているんですか?」

「あぁ、シィムラ様のお言いつけだ。俺の先祖はずっと賢者様のお仕えをする道具屋なのさ。名前はポラッタ」


「ポラッタ悪かった」とグリーナが頭をさげる。

「いいよ、わかってもらえれば。これから気をつけろよ。あと掃除手伝え」

グリーナ達はポラッタの指示通りゴミをひとまとめにして、道具の出し入れのレクチャーを受けた。


「よし、戦闘時の素早い道具の出し入れの為コミュニケーションも大事だからな。俺は参加出来ないが、常にお前達のバックアップしてると思え」


「ポラッタいいやつだねぇ。これからも頼むよ。

せめてこのまとめたゴミの廃棄だけはやらせてよ」

グリーナはポラッタの身体にスリスリした。

「お、おう。悪いな」とポラッタは大木をクマと捨てに小屋を出た。


「ゴミ袋ないですねぇ、どうしましょう」

「こんなん楽勝よ。わたしの智恵からすりゃ」

グリーナはムジナに背を向けさせ、リュックを開くと

チリトリですくった落ち葉や枯れ木やらゴミを次々とリュックに放り込んだ。


「だ!だめですよ、グリーナさん」

時はすでに遅し。

上空から舞い降りたゴミ達で、部屋とグリーナ達はゴミだらけになった。


「お!ま!え!ら!ーー」


その後、正座させられ、ポラッタに散々怒られた。

再び掃除が終わったのが、夕方になろうとしていた。


日暮らしが鳴くかろうじて茜色が刺す、薄暗い森をグリーナ達は急いだ。


「ポラッタさんが来たら四次元道具箱使えませんね」

「まぁ、森の中だし。あと俺にも来いってシィムラ様が言うんだよ」

「おばあちゃん、うちらが行くの知ってんだ」

「あぁ、なんせ上級魔法使いや魔道士もしらない、おかしげな魔法たくさん開発したり習得してるからな、そんぐらい朝飯前なんだろ。そのリュックと小屋の魔法陣もシィムラ様のつくったやつよ。賢者様特有の凄い世界観ってやつだよ」

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