作者教はえげつないことで有名です。

 それはある朝のことだった。

 ぽちが眠って私が起きている野営のお昼。


 それは音もなくやってきて。


 ガツーン!!


「あびぃ!!??」


 私の頭に墜落してきた。



「それでぇ、あなたは自称天使サクシャルだと」

「です。ウチは天使です。しんじてつかあさい」


 そいつは身長が私より若干高めでスリムな肉付き、黒髪ロングで、背中には見事なまでの真っ白な天使の羽根を五枚持っていた。美しいそのお顔の目には丸眼鏡をかけており、良いアクセントになっているのがなんか造形美って感じで憎たらしい。


「なんで落ちてきたの? よりによって私の頭上に」

「作者様から追放……遣わされたからです。ホントです」

「手枷足枷がついていたのに? ホントウ??」

「ほ、ほんとほんと」


 怪しい。実に怪しい。


「やっぱ見なかったことにして川流しにしてしまおうか」

「やめましょう、ね、ウチ役立つから。作者様が『最中ちゃんは冗談を言わない性格なんだよね』っておっしゃってました」

「へー、作者わかってるじゃん」

「でしょー、なんたってこの世界の作者ですから! ……じゃないんですよ! 酷いことやめてください! 冒険の旅に付き従えてください! 私肉食動物怖くありません! ここを逃すともうウチを出せる場所がないんです!!」


 なんかよくわからない論理で殴ってくるサクシャル。

 でもなんか同情心をくすぐられてしまう。


「まあ次の所まで付いてくるくらいなら良いよ。私は――そういや私の名前知ってたね、なんで?」

「作者様からお教え頂いたからです! 作者様は何でも知っているんですよ(音符)」

「おめーは作文の知識なさそうだな」

「そんなことないですっ(^^v星=3) それではよろしくお願いします! ウチは作者様からお導きをお教えいただけるので、この先どちらに進むと良いかを示すことが出来ます。あと攻撃が得意です、シュッシュ(ボクシングポーズで殴る)」


 コイツ喋らせるとやべーわ。なんかが崩壊していく音がする。

 次の街に着いたら捨ててこよう……。


 ――そして次の街――


「奇跡じゃー! ヒゲソリ騎兵隊が作者教の天使様をお導きくださったぞー!!」

「おおーハライエムエッサムハライエムエッサム」

「ソッダダラソダラ」

「み、皆様、ウチは現在このヒゲソリ騎兵隊の最中様に使える身であります。拝むのであれば作者様か最中様を拝みください。あ、今夜どこかに泊めていただきたいのですけれども」

「「「ヨロコンデー!」」」


 こうしてマジで意味のわからない流れで王族の宿泊場所に泊まることになった。この女、本物なのか?


「やっぱ川流しだな」

「ナンデデスカ!?」

「毎回こんな騒ぎが起こるのは面倒すぎる。ここで別れるということで」

「駄目です、ここで別れたら私の出番が終わりになります。次からは天使のオーラを出さないようにしますから大丈夫です。コスプレしているだけにしか見えませんので」

「いやーだー。なんで天使のコスプレしている人を連れていかなアカンのよ」


 だいたい付いてくるっていうのがなぜか決定しているのがおかしい。


 するとサクシャルは「変身!」と叫ぶと(うるさい)

 天使の姿から社長秘書の姿へと体を変えたのであった。


「これなら大丈夫。さあ、最中様。次はこの町の問題を解決するという寸法ですのでよろしくお願いします。問題は取水口に岩が落ちて水が取れなくなったということなので、無限流振動打で粉々にすれば大丈夫です。細かいことは市民がやりますから」

「はあ、そうですか」

「お膳立ては秘書にお任せすればオッケーです」


 なんだかなあと思いながら就寝。翌日、村の偉い人から相談事が来た。


「なぁにぃ!? この街の取水口に岩が落ちて水が取れなくなっただってぇ!? ――わかりました、私で良ければ力になりましょう」



 本当に起こりました。まぁじぃでぇ? 本当にそんなことあるぅ? 天使だからぁ?


 正直事前打ち合わせは済んでいるようなものなので、サクッと行ってサクッと解決。謝礼金どっさり。


「なんだかなあ」

「こうして作者とその天使が使えると知った最中は、渋々ながら同行するのを了承するのであった、と。ふー」



 まあ、減る物はなさそうだし付いてくるのは良いか。岩を破壊する魔法の火力もかなりあったもんね。魔法火力が増えるわ。


こうして作者教の天使サクシャルこと、秘書のシャルが仲間になったのであった。腑に落ちないがそういうことらしい。

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