なんで自由都市サキに一年とどまったんですか。馬鹿ですか。

 なんかもう復興し終わってましたわソレソーレ市。

 水晶採掘基地に採掘支援物資持ち込んだけど、既に十分な復興を遂げていて別に要らんと言われましたわ。

 そりゃ、自由都市サキに一年も滞在してから運んだんじゃ遅すぎるわ。


「不良在庫を抱えちまったぜ……。どうするよ、ぽち」

「わう」


 私の頭をポムポムし、しょうがないしょうがないと、なだめるぽち。


「そっかーそうだよね。こうなったら処分するしかないか。そうだ、たぶん初めての二人きりだしどっか旅するのも良いね。気分転換にでもなるでしょうし」

「わうわう」


 今度は私のことを大きな大きな前足で抱きしめるぽち。私のことをわかってくれる動物はぽちだけだよ。うんうん。


 さって、採掘道具を鉄くず屋に運んで処分。水晶採掘基地から綺麗で大きい水晶を買い取りサキへのお土産にする。

 自由都市サキに郵便発送すればなんとかなるだろう。インフラはそこそこ発達しているんだよね、この国、ガンバレル国は。まだ他の国を見ていないから世界の発達レベルは知りませんが。

 郵便ついでにメールも発射し、しばらく武者修行の旅に出ることを告げる。はがきじゃなくてメールなのが魔法がある文明らしいよね。文字の転送くらいは魔法で出来ちゃいそうだ。

 サキは付き添いますと言ってきたけど、自由都市サキを大きくして金銭的に不自由がないようにしよう、と言って自由都市サキの発展に専念してもらうことにした。


 さて武者修行である。国の首都まで進んでみようかな。

 サキがいないから自分でお料理しないといけないな。

 ぽちと私だけだから夜間の警戒も頑張らないといけないな。ぐーたら寝ていられない。

 あ、サキの馬車が私の所にあるから、あとでサキのところへ輸送してもらおうっと。ヒゲソリ騎兵隊のルートを使えば輸送はしてくれると思う。独自の輸送網築き上げているからね。


 さてと、ソレソーレ市を去りますか。次向かうのは『ツレナイ伯爵領アイーン町』。次の領土へ直行するのではなく、ちょっと遠回りをしつつツレナイ伯爵領内を巡っていくよ。ヒゲソリ騎兵隊の武者修行は細かい問題を解決することでもあるんだからね。


 アイーン町に到着して三日。暇を潰していた所に助けて欲しいとお願いが来た。


「娘がモンスターにさらわれた! 婚前前の娘なんだ、傷つかせないでくれ!」


 そんなことを言いながら、ちょっとリッチな商人さんがヒゲソリ騎兵隊宿舎にやって参りました。


「わかりました、詳細はわかりますか?」

「性なるオークがいる所へ行っちまったらしいんだ! あれは誰も対処できないモンスターだから放置して絶対に近寄るなと町中に言い聞かせてあるモンスターなのに」


 誰も対処できないんじゃ私でも無理じゃない?


「まあ行ってみます。しかし性なるオークねえ」

「繁殖力が極めて強いんだ、娘が発端となって大繁殖したら我が一族にまで迷惑がかかってしまう、それだけは避けないと」


 この世界オークの種類多過ぎだな。そんなことを思いつつ大繁殖されても困るので性なるオークがいる場所へ。


 その場所は暗い洞窟の奥、天井から日差しが差し込む空間だった。

 頭がイノシシでそれより下が全てムッキムキの人間男性が三人、気絶しているのか魔法で動けなくされているのか、あられもない姿で台の上に寝かされている女性を囲んで男性棒をぶらぶらさせながら踊っている。

 彼女が救出するべき女性かな。


 なんで対処できないかわからないけど、とりあえずぽちと一緒に突撃してみるか。うおーずどどどどど。


 突撃は普通に通用し、ぽちの体当たりと私の棒に突かれた二オークが吹き飛んで動かなくなった。ん? なんで普通の人は対処できないんだ? 普通に殺せるぞ?


 三体目の性なるオークは叫びながら男性棒をぶん回す。ぶん回す。ぶん回す。


「ぶもおおおおおおお!!」


 すると、男性棒が引っ込んで身長が増大し、腕が六本まで生えた。

 なるほど、戦闘モードになると凄い強くなるのか。


「ぽち」

「わん」


 ぽちのとつげきまえあしびんたさくれつ。


「ぶひぃ」


 性なるオークは全滅した。


 ま、ぽちより強くはなれなかったみたいだね、あははははははははは。


 ちなみによく探すと四匹目もいたので、私が相手をする形で処分した。伊達に暇さえあれば修行しているわけじゃないよ、棒術でボッコボコにしてやったよ。

 とどめは男性袋を叩き潰してのショック死だったね。

 サキのおかげで性には強いんだ、すまないな。


 女性はなんとかかんとか傷物になる前だった。

 殴る蹴るの暴行の影響で怯えているけど致命的な心の傷にはなってないと思う。


「帰ったぞ諸君、女性を連れてな!」

「さすがヒゲソリ騎兵隊様だ! ばんざい、万歳!」


 女性を譲り渡したあと、再度あの洞窟に向かって、根こそぎ性なるオークを処分していった。君たちはここにいてはいけないモンスターなんだよ。すまんな。

 性なるオークがスタンピードしたら大厄災になるかもしれない。

 戦闘モードの性なるオークはそれほど強い、と思う。いや、私やヒゲソリ騎兵隊なら余裕なんだろうけどさ。ヒゲソリ騎兵隊がすぐに到着しないことなんてざらだよ。そのとき、ここは壊滅しているかもしれない。


 完全な処分のために一年ほど滞在したかな。悪くない町だよ、ここは。性なるオークを処分したことで目の上のたんこぶも取れたし、都市に発展していくんじゃないかな。


 サキと大豆に小豆はどうしてるんかなと思いつつ、次の所へ移動しようか。

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