2話 -結城日向- これって脈アリ?

15歳。中学三年生。


一般的にこの年齢は、高校受験、部活の引退を控えている年齢だろう。いや、部活の引退は遅すぎるか。もう10月の終わりだし。

つまり別れの年齢とでも言おうか。


あとは何だろうな。高校受験をする訳だから、大切な友達と離れなければならない。


あとは、好きな人とかが心残りか?


好きな人と高校が離れてしまうから、自分が男子校に行ってしまって出会いがなくなるから、その前に恋人を作りたい。


だから、告白をする。


この考え方が一般的だと俺は思う。


俺は部活をやっていないから、部活の引退悲しー!とか、一緒に頑張ってきた仲間と離れたくねー!とかいう、陽キャの「地元俺ら最強!」みたいなノリは勿論ない。


ついでに言うと、俺みたいなのが宮原みたいなモテ女に告白なんか出来るわけなくて。


てか、叶わないって分かってて告白する奴がいるか。阿呆。そんなマゾじゃねーよ。俺は。


いやでも、優しい宮原に罵られるってなったら別だ。宮原に罵られるのはアリかもしれない。ありよりのありすぎる。


罵倒されてーな。

恋人になって喧嘩とかしてみてーな。


「なんで私以外の女の子と喋ってるの?(ぷんすか)」

とか言われてーな。


CVは敢えての大人ぽい声をとっての、早○沙織さんとか。(てか、宮原はこんな感じの声してる)


声は〇ノ下○乃さんで、性格はどっちかというと由○ヶ浜○衣ちゃんみたいかな。

えっ、なにそれ最強じゃん。


ちなみに、高校が離れちゃうから最後に想いを伝える。みたいな風習はうちの学校にはない。


当たり前だ。


この学校は、中高一貫だからな。

だからまず、振られたら死ぬ。社会的に死ぬ。


口が軽い、モテ女の宮原みたいなのに告白したら尚更だ。


クラスの女子みんなに言われるんだ。

「あいつ何告白してんの?自分の立場弁えたほうがいいよね〜、キモすぎ〜」


うわ、想像するだけで吐きそうだ。

世の男子は、「きもい」と女子に言われることほど傷つくことは無いのだ。


あっ、宮原は別ね。寧ろあり。


そんなことはさておき、まあ高校離れないのは嬉しいんだけど、そうなると告白のきっかけもないわけで。


俺みたいな、底なしの意気地無しはきっかけがないと告白なんかできないし。という感じでぐだぐだ3年間を過ごしてきた。


きっかけ。絶妙な時期に付き合えている若者はどんなきっかけで付き合ってるんだ?

謎すぎる。


そんなことをLHR中に、悶々と考えていた。

ふと黒板を見ると何故かそこには俺の名前。

そして、担任のトリケラトプス(本名 勝山 茂)の声が聞こえてくる。


「てことで、宮原が実行委員長、結城が副実行委員長で決定ね〜」


いや、何で。俺、青春ワイワイの修学旅行みたいな行事好きじゃないんだけど。てか寧ろ苦手なんだけど。


「結城!!私がお前を指名したんだぞ〜!中学最後の修学旅行、絶対成功させようね!」


え。宮原が俺を推薦したの?

これって、脈アリ?脈アリだよね??


告白のきっかけって、こういうのの積み重ねなんだろうな。


俺は、全力が大嫌いだ。嬉しいことより、後悔をすることの方が断然多いから。


でも。


この修学旅行は、ちょっと頑張ってみようと思った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る