第6話 江口

インパクトは抜群だった。


いつもの様に学生ホールに向かう。

いた。

またあいつだ。

そいつは学生ホールに入ったところで寝そべっている。

金髪、ピアス、鼻にもピアス。鋲のついた革ジャンにボロボロのジーンズ。

まるでリビングに居るかの様にくつろぎタバコをふかしている。

『コイツやべーな。』

マサミは警戒していた。

こんな場所でこんな事できる奴はまともじゃない。

そこにカズヨシが来た。

タバコに火をつけながら言う。

「あいつおもしれーな。パンク野郎だな。」

「普通アソコで寝そべるか?」

「だからおもしれー。」

周りの真面目な学生達は完全に引いている。

「隣のクラスだよな?」

「あぁ、いつも一人だな。仲間いねぇのかな。」

「あれじゃぁな。」

「でもいつも笑顔でいい奴そうだ。」

「ちょっくら行ってこよ。」

そう言ってカズヨシは金髪男のところに行った。

「おい、おい、おめーパンク好きか?」でかい声で聞いた。

『おいおい、いきなり掛ける言葉か?』

マサミは緊張した。

周りの学生もびっくりしている。

「おう!俺か?好きだぜ。」

金髪男が笑顔で答える。

「隣のクラスだろ?どっから来てんの?」

「新発田、お前バイク乗ってんだろ?」

「おう、乗ってる。SR400。」

「よく見るよ。かっこいいな。じつは俺も乗ってる。SR。」

これで一気に意気投合した。


これが江口との出会いだった。

そしてこの出会いが後のマサミの大きな出来事のきっかけとなる事はこの時は知る由もなかった。


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