『识夜描银』――『Yangyao the Spirit Catcher』


 ジャンル:玄幻ファンタジー冒险アドベンチャー悬疑サスペンス战斗バトル

 おすすめ度:中国語初心者 ★☆☆☆☆

       中国語上級者 ★★★★★★★★


 潇十里、十字卿氏の漫画が原作の作品。

 第一期全11話(2021/09/29)完結済み。

 妖絵師と鴆毒師の青年ふたりが、姿を消した「描银师びょうぎんし」の謎をたどる物語。



 最初にあらすじをご紹介。


 ときは遥か古代、未だかの地に魑魅魍魎の跋扈していた時代。

 かの地に伝わる神話によると、公子未苏ミソは世界の概念を変え、新しい時代を作り、駆妖師の地位を高尚で尊敬されるものにした。

 しかし、この「描银师ビョウギンシ」の時代は一夜にして急速に衰退し、描银術ビョウギンジュツの技術に関わるものは完全に姿を消した。

 伝説の中にしか存在しないその存在は、阳爻ヨウコウの興味をかき立てた。

 真相を探す旅に出た彼は次第に、当時に起こったことがまだ終わっていなかったことを知る――。



 知る人ぞ知る中華古風ブロマンスです!

 能力の違うふたり組が協力して真相を解明する物語が好きな方に特におすすめの作品。

 ストーリーも本格的なミステリー要素があったりと、見る人を飽きさせない工夫がされているのでミステリー好きもぜひ。



 ここで個人的な推しポイントをご紹介。


 推しポイント①:明清志怪小説風の本格的なミステリー。いつのまにか展開に目が離せなくなっている……!?


 本作の中心に据えられているテーマは駆魔師の謎を解くということなので、ストーリーには各種の妖怪や道士、仙人などが登場する。

 ちなみに、駆妖師とはかの地に跋扈する妖怪を退治することを生業とする者たちを指す。

 そのおかげか、原作ファンのあいだでは明清志怪小説に似ていると評価する人もいる。


 たしかに似ている。

 感覚としては、日本の少年漫画と明清志怪小説をあわせたような感じ。

 志怪小説を読み終わった後の不思議で、独特な余韻に浸ることができる。


 さらにさらに、初っ端からミステリー要素満載なのでどんどん引き込まれてしまう。

 霧の覆われた湖上での事件。切迫した緊張感が画面越しにありありと伝わってくる。

 いつのまにか、謎が謎を呼ぶ展開のとりこになってしまうかも。


 推しポイン卜②:妖絵師と鴆毒師の妖怪退治ブロマンス! 個性派バディに注目したい!


 本作はブロマンス作品であり、バディもの。

 年齢も能力も違う駆妖師のふたりが協力して妖怪事件の真相を解き明かしていく。


 主人公の阳爻ヨウコウは絵師であり、巨大巻物を用いて妖怪退治をする天才駆妖師。

 絵に書いたもの(使い魔など)を具現化することで攻撃する。

 若くて無邪気だが、正義感にあふれているので何にでも突っ込んでいきがち。


 もうひとりの主人公である宴安エンアンは毒の使い手であり、その血に毒を含んでいるといわれる鴆族の青年。

 ちなみに鴆毒酒……ではないが、酒造りをしていたりもする。

 基本的に冷徹な態度をとるが、親友の阳爻ヨウコウに対してはいくらか優しくなる。


 ふたりのクスッと笑える掛け合いも、迫力のある戦闘シーンも見逃せない。

 どうやって謎に立ち向かっていくのか、続きは本編で……。


 推しポイント③:原作から存在する根強い人気! 漫画は日本語で読める!?


 本作、実はもともと同人誌として発表されたものに人気が出て商業化されたという歴史を持っている。

 そこから一気にアニメ化に至るまで人気が出たのは言うまでもない。


 さらに驚くべき話は、中国国際アニメ祭にて有名な海外の監督の手によって映画化されることが発表されたということ。

 これは本作が国際市場でも人気であることだけでなく、中国のアニメ市場の変化と進化を裏づけるものでもある。

 映画の続報はまだ出ていないけれど……。


 下記に詳述しますが、なんと原作漫画は日本語で読めるらしい。

 海外展開に特に力を入れられているのだとわかる。



 ここでちょっとだけ小ネタをご紹介。


 『陽色の駆妖師 ~スピリットキャッチャー~』というタイトルで、原作漫画が日本語で読めるようです。

 しかも、なんと日本語版公式サイトまである……!

https://comics.mmbb.jp/yangyao_the_spirit_catcher


 アニメの内容が難しいので、漫画版で予習してから見るのもありかも?

 欲を言うなら、アニメも日本上陸してほしいですね。



 明清志怪小説風の本格派玄幻ブロマンス、ぜひおすすめしたい一作です!



 (記:2023/11/05)


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