『穿书自救指南』――『クズ悪役の自己救済システム』


 ジャンル:玄幻ファンタジー穿越異世界転生武侠中国武術修真仙人修行

 おすすめ度:中国語初心者 ★★★☆☆

       中国語上級者 ★★★★★★★★


 墨香铜臭氏の小説が原作の作品。

 第一期全10話(2020/09/10)完結済み。

 日本語字幕版第一期完結済み。日本語吹き替え版放送予定。

 うっかり死んだら、前世読んでいた修仙小説中のクズな悪役になってしまったんですけど!? な物語。



 最初にあらすじをご紹介。


 修仙の世界を舞台に、登場人物はみんなイカれて傲慢なのに 、主役より強いキャラクターは出てこないという長編種馬小説『狂傲仙魔途きょうごうせんまと』。

 トンデモ設定ばかりで伏線の回収もないその終わり方に納得できず、毒づいた言葉を書き込んだ沈垣シェン・ユエンは肉まんを喉に詰まらせて死んでしまう。

 しかしあろうことかその小説の世界に転生して、主人公・洛氷河ルオ・ビンハーを苦しめるクズ悪役・沈清秋シェン・チンチウになってしまった。

悪役の身に待ち受ける悲惨な結末を回避して生き延びるため、小説転生システムのルールを守りながら動き始める沈清秋(沈垣)だが、洛氷河の態度に変化が…。


(TVアニメ「クズ悪役の自己救済システム」公式サイトより)



 中国国内外で数々の人気作品を出版している作家さんの処女作ですね!

 これまたテンポ良いストーリー展開に、ゴリゴリの修仙要素が入っていてとてつもなく興奮します。

 中国アニメ好き必見!



 ここで個人的な推しポイントをご紹介。


 推しポイント①:日本のラノベにも繋がるところがある!? 修仙異世界転生ファンタジー!


 最近、中国でとても人気のある玄幻異世界転生系ファンタジー(命名)

 その名の通り武侠、修仙、神怪などさまざまな中国文化要素を取り入れた作品。

 本作ももちろんそのうちのひとつで、小説が中国国内でヒットしたもの。


 だけどこの作品は一口に玄幻といっても、異世界転生要素といい、小説の中に入りこむという設定といい、なんだか見覚えがあるような……。

 専門用語も丁寧に説明されているので、他の玄幻アニメよりも日本人にとってとっつきやすそうな印象。

 作画は3Dとなっているが、ものすごくぬるぬる動いているのですぐに慣れると思う。

 何よりもストーリーのテンポが良くて見ていて気持ちいいから……!!


 中国人はとにかく自国の文化を小説やアニメに活かすのが上手ですね。

 私もその魅力に全力で引きこまれた人なので、もっともっと世界に広まってほしい!!


 推しポイント②:自分で小説の結末を改変!? 果たして死亡エンドは回避できるのか……


 読んでいた小説の悪役になって自ら死亡エンドを回避するために奮闘する、という話だが、なんだか最初からどこから突っこんで良いのかわからない(笑)

 見ている私たちですらそう思うのなら主人公はなおのこと。

 転生した先で突然システムに話しかけられたり、スキルや初級任務クエストなどが発生したり。


 特にそのシステムの開発理念が

 【YOU CAN YOU UP, NO CAN NO BB】(できるなら自分でやれ、できないなら口を挟むな)

 というなんとも無責任なもので……

 ちなみにこの言葉、中国のネット小説界隈でよく用いられるスラングです。不快な感想の返信などで。


 そしてそれに加えて、OOC(キャラ崩壊)やB格(カッコよさポイント)などという数々の縛りもあってそう簡単にはいかない。

 とりあえずまずは原作とは違って洛氷河ルオ・ビンハーを正しく教育しようと決める。

 果たして主人公は無事に死亡エンドを回避し、生き残ることができるのか?

 とても気になるところ。


 推しポイント③:交錯する思惑。徐々に原作から離れていくストーリー。主人公が選択するひとつひとつの言動にハラハラする!


 いくら小説の登場人物に過ぎないとはいえ、彼らは全員物語の中で生きていて感情を持っている。

 自分のひとつの言動が今後のストーリー展開に大きく関わってくるかもしれないし、人物の運命を変えてしまうかもしれない。

 そんな不安を常に抱きながら主人公はストーリーを進めていく。


 特に物語の山場は慎重に選択していかなければいけない。

 原作と違う行動をするとなれば、ストーリーがどう転ぶか予想がつかないためこちらもハラハラドキドキが味わえる。

 たいしたことないと思っていた事柄が、あとで思わないところで繋がったりするかも?


 そのあたりも含めて、ぜひとも見ていただきたい。



 ここでちょっとだけ小ネタをご紹介。


 日本語字幕版が『クズ悪役の自己救済システム』という題名で配信された。

 日本語吹き替え版も配信決定。ちなみにそちらの主演は浪川大輔さんと梶裕貴さん。

 続報に期待!


 原作小説『人渣反派自救系統』の日本語翻訳版が配信連載決定。紙書籍化の準備も進行中らしい。

 こちらも続報に期待!



 クズ悪役に転生してしまった主人公が小説世界で奮闘する修仙ファンタジー、ぜひおすすめしたい一作です!



 (記:2023/09/03)


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