萌と萌香

第28話 親友からの相談

さて、父さんの葬儀も終わり、翌日は振替休日であったため、午前中は泥のように眠った。母さんと楓も30日は一緒に過ごした。

と、言っても俺は午後からバイトだったから、その間に仏壇の手入れなど済ませて鈴木の実家に戻ったようだ。

これからは、母さんと楓もこの家の出入りが増えるので、今までのようには行かなくなるなぁと思っていたのだがこれまでとそんなに変わらないことにすぐに気が付いた。

母さんが来るときは家事は母さんが済ませていくと言うことだったので、今までよりも楽になるかも知れない。


もちろん俺も鈴木の家にも帰ることになっている。


婆ちゃんとの約束は守らねば、カッコが付かない。


齋藤家の祖父母ももう少ししたら帰るらしいが、鈴木家での生活に慣れてしまっているのでこのままずるずるいきそうな気配もあるとジジとババが言っていた。

仲が良くて宜しいことだ。

そこに最近よく来る、カモガワバイクの会長も加わりそうで怖いな。

バイクのことで世話になっているから邪険にも出来ないけど、勘弁だな。


てなわけで、激動のゴールデンウイーク前半が終わり、今日と明日は普通登校となっている。2日位休校にすればいいのにとか思いつつ、今日は学校に行った。


何気にモカに会えるのは楽しみだったのだ。


唯、あの夜のことを思い出すと今でも恥ずかしくて悶えそうになってしまうが…。


そして、そっち告白の事も真剣に考えておかねば。

早いほうがいいよなぁ。

でもまだ、覚悟がねぇ。嫌なイメージがまだ拭えない俺はやはりヘタレなのだろう。


いつも通り、愛車WR250に跨り怜雄の家へと向かう。


怜雄の両親と会ったので挨拶を交わす。以前より明るくなったと言われてしまった。髪型も今の方が良いらしい。怜雄母から好評価であった。

怜雄と合流したら学校に向かう。葬儀等のお礼をした後は、お互いバカなことを言い合いながら登校する。

(以前はこんなことが楽しいとは感じていなかったかも知れない。)


校門前で校長先生にあったので先日のお礼を伝える、気にしなくて大丈夫と言われてしまう。


教室に入ると仁が待っていた。仁にも葬儀の礼を伝える。仁にも食事会の際、買い物等をお願いしたのだ。主に久美の荷物持ち要員として…。

本人は喜んでいたので構わないと思うけど。


このあととんでもない話が仁の口から飛び出した。


「あのな、萌。この間、買い物で合流したろ?ラーメン食いに行ってさ。」


「おう、行ったな。なんか気になるものでもあったか?」


「いやそうではなくてな、俺…あの後な、…久美に告白したんだ。」


「マジか!?んで、どうなった?(わかりきった結果ではあるが…)」


「…久美からは、良い返事をもらえたよ。」


「なら良かったじゃん。まぁ、どう見ても両思いだったしな。でも、なんか歯切れ悪くないか?」


「いや、それがな。真司さんと会長から、久美はお前と婚約するって聞かされたんだよ。だから交際の話もなかったことにしろと迫られてな。本気で困ってるんだよ。久美は怒ってるし、勿論味方もいるんだけどな。あの日は、あの二人が納得しなくてさ。

だから、不謹慎だとは分かっているが、この間、二人で買い出しに行けたのはとても良い機会だったわけさ。」


なんでそんな話になってんの?

いや、会長は確かにそんなことを言っていたが、それはしっかり否定したはず。しかもかなり前の話だ。久美のことも妹みたいなものだと言って説得したから、納得していたと思ったが、まさか蒸し返されるとは…思わなんだ。

…あぁ、なるほどね。最近、鈴木の家によく来るのは単に向こうの居心地が悪いからか。

それにしては盛り上がってんだよな?

よく分からん。


「なんか、めんどくさいことになてって悪いな。とりあえず味方って誰だ?」


「女性陣だな、久美の祖母に、お義母さん、それと芹沢先輩。後、意外な所でお義父さんだな。久美の人生なんだからと言って味方してくれたよ。」

親父さんもおばさんとお見合い蹴っての恋愛結婚だって言ってたからな、娘の自由にさせたかったんだろうな、仁の人柄についても知っているのあるだろうけど。


「それなら問題ないな。会長は拗らせるとめんどくさいけど、女将さんたちが味方なら問題ないだろ。真司さんは会長に乗せられたな…。あの人も昔、俺と本当の兄弟なりたいとかヤバいこと言ってたから。でも、由紀さんには逆らえないからな、問題ないだろ。」


「とりあえず、今度会長説得するのを手伝ってくれよ。萌の事も考えろとか言われてさ、俺が間男みたい思われるのは正直言って癪だ。」

ま、そうだろうな。間男の気持ちは痛いほどわかる。


「でもな、仁。俺もつきあうけど、最終的にはお前が会長を説得しないと意味ないぜ。ま、味方も多いし大丈夫だ。久美がキレる前になんとかしよう。」

もうキレてそうだけどな。


「ありがとう。宜しく頼む。」

これまで助けられたことのが多いからな。

これからなんともない。


「いや、これまでの借りもかるからな、少しは返すよ。」


「説得の決行をいつにするかは久美とも話してみるよ。早いほうがいいだろうけど。」


「だな、それが良いと思うよ。なんなら今日でも構わんよ。」


昼休みにまた相談かな?モカと2人の時間も取りたいけど仕方ないか。



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