第28詩 【蒼い鳥】
失われかけた心の世界を求めて
私は旅するだろう
時も忘れ去り
旅してゆくだろう
朝 オナガたちの声で
純真に目覚める子供のように
いつごろか そこへ入ってゆくだろう
(窓には いちめんの霜歯朶(しもしだ))
深い巨きな森の中
樹林の 突き出したひざこぞうや
ひるがえした踵(かかと)の粘膜(ねんまく)に
自然と湧き出す鱗苔のように
ユラとうら そこへ入ってゆけることだろう
(窓には いちめんの霜歯朶(しもしだ))
そそり立つ雪山の胸板から
雪崩の橇(そり)に裸一貫のし上がり
雪男が燃え上がる生と死の間を滑ってゆくように
失われかけたうちなる世界を求めて……
暗く冷たい雪原を 歩き彷徨(さまよ)うことだろう
(窓には いちめんの霜歯朶(しもしだ))
やがて 独りになってしまっても……
雲間を指し見て
白いミカヅキの光明を
願い続けることだろう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます