第16詩 【夢】


月は


朧(おぼ)めきました。



朧(おぼろ)げたらという間に。



月は


人の夢間(ゆめま)に


射し覗(のぞ)きました。



一昨日(おとつい)の歌が流れる夜に。



しかし 山風は人を


揺り起こす 荒らしとなって。



たった今


今が消え去ってゆく。



夢は ただ


待ち望むであろう


人を 思うものを それのみを。



人は いっそう 


夢を 切なくする だのに!



嵐は 小止(おや)まない


その日……独孤(ひとり)が(草葉のようなひと)


夢路へ 発った



愛から 醒めゆくように。



ああ けれど……しかし……


夢へ 誘われ……踏みしきる足音……



夢は ただ


輝くであろう



褥(しとね)を濡らすままに


待ち草臥(くたび)れたのだ



……おまえを 信じる と。




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