零の三
雨霧零はいつも一人だった。
それは昔からのことで、けれど昔は皆と一緒に暮らしていた。
零はいつの間にか
幼いながら何かを隠しているようで、なにかと秘密の多い少年。
最初はそんな印象だった。
だからこそ惹かれていたのかもしれない。
幼い頃の舞菜はいつも零の後ろにくっついていた。
偏屈で周りから嫌われていたスウも喧嘩しつつも一緒にいた。
なんとなく舞菜につられて皆も二人を受け入れつつある気がした。
ある日、信頼してくれたのか舞菜とスウだけが旧東京メトロの端に呼ばれた。
零は初めて抱え続けてきた
その
だが翌日朝起きると、大人達は零を囲んでいた。
零を化け物と呼んでーーーーー…………。
「舞菜。」
よく知る声に振り向く。
「佑。どうしたの?」
彼は佑。零とは別の幼馴染。
「またあいつの所へ行ってたのか。」
睨みつけるように佑は言う。
みんなそうだ。零の本質を知らず、忌み嫌う。
「そーだよ。私にとっては大事な友達だもん。」
舞菜は踵を返した。
「その話だけなら帰るね。」
「婆ちゃんに言うぞ。」
「好きにすれば?」
スタスタと歩いていく舞菜。
それをじっと見つめる佑。
小さく舌打ちをした。
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