第7話「アイランズ」キング・クリムゾン

 またまたキング・クリムゾンの登場です。申し訳ありません。好きな曲が多いもので。


 2021年に発売された「1970年代のプログレ ー 5大バンドの素晴らしき世界 ー」の著者・馬庭 教二氏は、プログレッシブ・ロックの中で最も美しい曲は、ジェネシスの「ファース・オブ・フィフス(Firth of Fifth)」で、次点がキング・クリムゾンの「アイランズ(Islands)」だと著書で述べています。


 私はそれに異議を唱えます。


 「ファース・オブ・フィフス」のギター・ソロ・パートは確かに美しいのですが、この曲の欠点は、ヴォーカル・パートとインストゥルメンタル・パート(楽器演奏だけのパート)の印象が乖離している点です。

 違う2つの曲をくっつけたような印象なんです。


 それに比べて「アイランズ」は、最初から最後まで同じ美しい旋律を奏でているんです。


 「美しい」にもいろいろあるので難しいところですが、ここでは「エピタフ」のような陰鬱な美しさや、「スターレス」のような激しい美しさは除いて考えます。


 「心が洗われるような美しさ」という点では、「アイランズ」はキング・クリムゾン史上最高の美しさであり、プログレ史上でも1位といって良いのではないでしょうか。


 「アイランズ」は1971年に発表された、キング・クリムゾンの4枚目のアルバム「アイランズ」に収録された表題作です。

 作曲はロバート・フリップ総帥なのですが、彼の作曲傾向を考えると、このような静かで美しい曲を生み出したというのは、申し訳ないのですがちょっと信じ難いことでもあります。


 ピート・シンフィールドによる美しい詞を唄う、ボズ・バレルのヴォーカルもまた美しいです。



 小さな島に穏やかに打ち寄せる波、その音を聞きながら、浜辺で物思いにふけっていると、やがて夜のとばりが訪れる・・・そんなときに聴いていたい曲です。

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