慙死希望

夢月七海

慙死希望


 間違えてしまった。


 ただ立っているだけなのに、血液が全て足元へ下がっていくようだ。顔面蒼白のまま、席に着く。

 クラス全体が、黙り込んでいる。爆笑してもらえた方がマシなのに。


 ああ、死んでしまいたい。恥ずかして恥ずかしくて、穴に入ったくらいでは、足りないくらいに。

 顔を上げると、一丁だけの拳銃がこちらに銃口を向けて、宙に浮かんでいた。






   〇






 あ、死んだ。


 斜め前の席のあいつが、額に何かが当たったかのように、大きく後ろに仰け反って、机の上にバタンと倒れた。

 そのままぴくりとも動かないが、よくある事なので、全員流している。


 あいつが顔を上げた。さっきの事を忘れたように、ペンを動かしているのを見て、自分も授業に集中した。





























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

慙死希望 夢月七海 @yumetuki-773

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ