同類

第1話

「人生のオチは死って知ってた？」

　喫茶店に呼び出され、注文をする前にエリはいつものように突拍子もないことを言い出した。

「ちょっと前そんな感じの歌あったよね」

「じゃあ最初から最後までめちゃくちゃ最高なのにオチだけがクソな映画ってアキは好き？」

「好き」

　どれだけオチがクソでもオチのギリギリまでが最高に好きだったら、もうそれは愛すべき映画になる。

「私は嫌い」

　えー。

「今日ね。病院に行ってきたの。余命半年なんだって」

「え……」

「だから、お願いがあるの。今からひと月だけでいいからアキとずっと一緒にいたい。そのあとはもう会わなくていいから」

　私は大きく深呼吸をしてから「電話してくる」と言って席を立つ。

　席に戻り私は言う。

「仕事辞めてきた」

　エリがなにか言う前に私は続ける。

「私はクソなオチのギリギリまで最高な映画が好きなの」