第18話
陽子に言われた逃げるという言葉なんだか受け入れなれなかった。本当は逃げていないことを陽子に伝えた方がいいと思った。でも、言葉にできず陽子に私の頭の中すら表現できず終わった。個人的には遅めの昼ごはんを一緒に取るつもりでいたけど、お互いお腹が空いていないということで街コンの最寄り駅まで一緒に帰りながら今日の感想を話した。こんな人がいたとか、どんな会話をしたのかというのを陽子が話すので聞いていた。
陽子と別れて1人になった。1人になるとさらに『逃げ』と言う言葉が頭の中に現れて、疲れた気分になる。
なんで逃げって言われたのだろう。私のグループに私に合う人がたまたまいなかったかもしれないじゃないか。私には結婚することが人生の正解だと思っていないのは事実である。しかし、適齢期で結婚をしないことは『逃げ』なのか。
けど、義務のように当たり前ように周りから話しかけられる。義務ならば、結婚することの素晴らしさ必要性を教えて欲しい。家と家の繋がりと言われても核家族がほぼほぼだし。私も核家族で育ったし。
子ども?子どもはかわいいとは思う。それだけ。少子化問題の責任を押し付けられても困るし。お金があれば考える余裕が出てくるかもしれないけど、自分で生きていくだけで精一杯。
自分で生きていくだけで精一杯ならば、お金のために結婚するという方法もあるか。それならお金持ちと結婚しないといけない。
時間に余裕ができる?いや、ブラック企業に務めてる時点でそもそも無理だろ。相手もいないしこれは偏見だけど、基本的には私がしないといけない確率の方が高いのでは?それだったら余り変わらないのでは?
老後が寂しい?老後のためだけなら、50歳くらいで結婚した方がいいと思う。子どもを産むとなると変わるけど、老後のために何十年も連れそうのはリスクが高すぎる。私が何歳まで生きるか分からないけど、50歳でも早いかもしれない。
あと、個人的には老人ホームへ入居して、無縁仏でもいいと思ってる。相手が先に死んだらどちらにせよ1人だ。
あと何があるだろう。世間の目くらいか。私も思うけど、やっぱり結婚してない人って何かあるのではないかといらない詮索するし。
1人で黙々と歩いた。
結婚を勧めてくる人はなんで勧めてくるのかは、本人からしたら当たり前の通過点なんだろう。私みたいにうだうだ考えず、適齢期で結婚が人生プランの中では当たり前なんだ。当たり前の人に何を言っても理解はされないだろう。距離が離れるな。このままじゃ。少し悲しいけど。また考えよう。
当たり前に結婚することができるなら結婚してる。そんな生き方は羨ましいと羨ましくないの半々の気持ちが行き来する。結婚が逃げだとか思ってはなくて、一種の生存選択だとすれば個人的納得はするし、私の中で腑に落ちる。ただ、私の中では違う。いつかは、奥の手のとして使うかもしれないけど、今ではない。結婚したい相手というより相手が現在いないことが問題で解決するために街コン行ったが、拒否して帰ってきた。
今まで人生、他人に合わせて生きてきた。やっと、無難から外れることができる気がする。この喜びを充実したいというのが、うっすら結婚への疑問からどうしたいか何となく決まってきた気がする。
個人で生きていく方法も増えてきた。その中でも私は少しズレた生き方をして、自分と向き合ってみたい。好きな人と結婚するのは有無を言わさず、素晴らしいことだ。
人生100年だとしたらアラサーの私はまだまだ若い。100歳の人からしたら私なんて子どもだ。選択肢はいくらでもある。仮に臨んだ結果ではなくても別の道があるし、技術的になんとかなるかもしれない。その時その時で考えて行きたい。後悔するかもしれないけど、それが今できる答えだ。
ふと、パンの匂いがした。そういえば、昼ごはんちゃんと食べてないことを思い出した。お腹が空いた。それ以外は考えられなくなっていた。
辺りを見渡すと匂いの発信源はすぐ近くにあった。家で食べるか。お店で食べるか悩ましい。
あまりのお腹の空き具合に負け、お店で食べることにした。店に入り、好きなパンを取り、会計をし座った。今日はなんだか疲れた。疲れたからこそ、自分を甘やかしたい。だから、キャラメルマキアートをプラスで頼んだ。
席に着いて気づいたが、休日ということもあり、家族連れ、友達、カップルとか複数人で来ている人が多い気がする。
陽子とのこれからの関係が薄っすら気になるが、考えるのは止めてパンを食べた。
美味しかった。明日は日曜日。何しようかな。いつもの日曜日より楽しみな気がした。
パンと靴 @hiesho-samui
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