腕のなか

「イズミ」「リル」「イズミ」「リル」


聞き慣れた声が俺を呼ぶ。


あぁこの声が好きだ。この呼び方が好きだ。


目を開けられた。大切で大好きな顔が二つ。体を支える腕。手を握ってくれてる。


笑わなきゃ。嬉しいもの。抱きしめたい二人いっぺんに。


でもできなかった。笑おうとしたができなかった。せめて笑いたかったができなかった。


そのかわり二人の顔をじっと見た。水のはいったグラスが口に当てられる。美味しい・・・・



もう一度、布団に戻された。


「もう一度、眠れ。次は元気に目が覚める」


『手を握って欲しい』と伝えたいけど声がでないと思っていた、二人が片方ずつ握ってくれた。


嬉しくて両方握った。それから目を閉じた。




目が覚めた。二人はベッドに顔を伏せて眠っていた。握っていた手が少し緩んでいたので、こちらからしっかりと握った。


どっちをみても大好きな二人がいる。夢のようだ。!!!夢?違う現実だよね。目が覚めているよね。


何故か、涙が出てきた。二人がいるに、手を握っているのに・・・・不安だ。



二人の手をぎゅっと握ったら目を覚ましたみたいだ。


「ごめん、起こしちゃった。疲れてるのにごめん。もう大丈夫だから、ちゃんと寝て」と言おうとしたのに


両方から抱きしめられて言えなかった。


「よかった・・・心配・・不安で・・・二度と・・・」


二人が切れ切れに呟く言葉でどれほど心配させたかわかったが、詳しく聞きたくて


「どれくらい寝てた?あの明かりは?」



「俺たちが帰ってきてから一週間だ。あの明かりはうっかり落として割ってしまった。すまない」


「びっくりしたぞ、床に倒れているから・・・・誰に見せても寝てるだけって言うし・・・なにしても・・・・反応してるのに・・・いや、その目が覚めないし」


『うん、反応?いや、そこは後にしよう』




「とりあえず、軽くスープを飲め、それから風呂だ。手伝うから・・それから食事しながら話せ」


「そうだな、スープを持ってくるから待ってろ」とエドが部屋からでるとアレンが俺を抱きしめて


「よかった。戻って来てくれた」と囁いてキスしようとしたが、


「アレンにばれたら大変だな」と額にキスした。






俺はソファに一人で座り、向かいに二人で座るアレンとエドに留守中、どうやって過ごしていたか話していた。


「最初はぬいぐるみの訓練」俺は時々アレンが帰る時、ついていってぬいぐるみを増やしていたのだ。


店に行く度に買っていたのではなく、魔力の通りのいい子が見つかると買っていたのだが、最初のうさぎの次は定番のくま。それから犬。それから人形と増やしてそれぞれ個性あふれるいい演技をするようになっている。その練習をしていたのだ。


彼らは戦えて、踊れるのだ。



それから、本読んで自分も書いて・・・・・そうしてぐだぐだ過ごして・・・・


それからねこそぎ市に行った。あの照明を買って、屋台のごはんを食べてたら寝てた」

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