それぞれの休日

「悠真君、こんにちは! 早速だけど、今日は私がお昼ご飯作ってあげるよ! 今日はお姉さん食堂だよ!!!」


「え、可愛い、好き……でも、大丈夫ですか、秋穂さん?」


「えへへ、好きって言ってもらえた、嬉しい……え、心配? 何が? 私も大好きだよ、悠真君の事!」

 土曜日、午後12時。

 いつもならお家デートでも外に集合で、少しお外デートも楽しむんだけど、今日は直接秋穂さんのお家に向かってのデート。


 ちょっと珍しいな、なんて思ってお家に向かったんだけど、俺を待っていてくれたのは、可愛いうさぎさんエプロンをつけた秋穂さん。

 エプロン姿で、いつもは流している髪をポニーテールにまとめて、お玉を持ってキラキラ笑顔で……可愛い好き!!! いつもと印象変わって大好き! めっちゃ可愛いです、秋穂さん! でも、心配もあります! 


「俺も大好きです、秋穂さん。でも秋穂さんって、食べる専門だと思ってましたから。あんまりお料理する秋穂さん、想像できないって言うか」

 秋穂さん、いつも美味しい美味しいって言いながらご飯とかおやつとか食べてるけど、作ってるイメージ全然なくて。

 美味しそうに食べてくれるから、作る人からしても嬉しい食べ専の人だと思ってました。


「むー、悠真君それは失礼! 失礼しちゃうよ、悠真君! 私だってね、お料理出来るもん! 高校の時ね、家庭科の成績4だったんだよ! 結構得意だよ、お料理!」


「家庭科4はすごいですね、秋穂さん! それはちょっと、お料理楽しみになってきました! まあ本音を言えば秋穂さんのお料理、食べてみたかったですし! 俺の大好きな彼女の秋穂さんの作るお料理、食べたくないわけないですからね!」


「うんうん、素直になれば良いんだよ、悠真君! 彼女さんの私が作るお料理、食べたいって素直に言えばいいの……えへへ、改めてそう言われると、なんだか照れるね、恥ずかしいね。私も大好き、悠真君の事……こほん。という事でクッキングタイムだよ、悠真君に美味しい! って言ってもらえて、ギューッと胃袋掴めるお料理作るからね! 悠真君に私のお料理大好きになってもらって……えへへ、頑張るぞい!」

 そう言った秋穂さんはギュッと楽しそうな笑顔で拳をむん、する。

 ふふふっ、俺も楽しみです、秋穂さんに胃袋掴まれる楽しみです!!!



 ~~~


「今からクッキング開始だよ、今日のご飯はヒミツだからね! 悠真君はリビングでテレビでも見て待ってて! お姉さんが、一人でお料理作るからね! 一人で、悠真君の胃袋さんをがっちりするお料理作るからね! 手助けはいらないよ、ふんすふんす!」


「それじゃ、お言葉に甘えて……あ、そう言えば秋穂さん。秋穂さんってキッチンに身長届くんですか、良い感じに包丁使える高さになりますか?」


「えへへ、それは大丈夫! ちゃんと台、用意してるからね! それに立ってお料理すれば、大丈夫! ちょっとぐらぐらするけど、大丈夫だよ、悠真君! 心配しないで、悠真君は、彼女の私のお料理を楽しみに待っててください!」

 そう言って秋穂さんがよいしょ、っと取り出すのはボロボロになった木の台。


 何年も使って、いつ崩れてもおかしくないような、そんな古くて思い出の詰まっているような木の台……こう言うのは風情あっていいですけど!

 これに乗ってするのは心配、届かないの心配です!


「余計心配なりました、絶対怪我しないでくださいね! 気をつけてお料理してくださいよ……ご飯食べ終わったら、ちゃんとお家デートらしくイチャイチャタイムもしたいですから」


「えへへ、大丈夫だよ、悠真君! 心配しないで、お姉さんは強いからね……イチャイチャも、ちゃんとしたいです……ちょっとだけ、悠真君成分、補充してもいい? えへへ、最近、ぎゅーってしてもらってないから、ぎゅーってしてもらっていいですか、悠真君。久しぶりのぎゅー、欲しい……えへへ、お姉さんは、彼氏さんで大好きな悠真君に、大好きのぎゅーをしてもらいたいです」

 少し恥ずかしそうにそう言った秋穂さんが、俺の方を物欲しそうな目で見ながら、えへへと精いっぱい大きく手を広げる。久しぶりの事に期待を込めるような、ワクワクしているようなそんな雰囲気も醸し出しながら。


 ……そう言えば最近、秋穂さん以外と色々ありすぎて、全然秋穂さんとイチャイチャラブラブ出来てなかったな。

 色々ありすぎて、秋穂さんの事全然……よーし、いっぱい大好きするぞ、秋穂さんの事!


「よーし、おいで秋穂さん! いっぱいいっぱい大好きしますよ、秋穂さんの事!」


「えへへ、やった! それじゃ、悠真君、どーん……ふへへへへ、悠真君、温かい……えへへ、大好き、悠真君にぎゅーってされるの……えへへ」

 ドーンと勢いよく突っ込んできた秋穂さんを抱きしめると、小さくて暖かくて柔らかい、幸せな感覚。

 久しぶりに大好きな彼女を抱きしめて感じる、より幸せな感覚。


「俺も大好きです、やっぱり……秋穂さんをぎゅーってするの、大好きです、俺も! 秋穂さん温かくて、ふわふわで、俺の気持ちもぽかぽかしてきます」


「えへへ、私もだよ……私も悠真君とこうするの大好き……えへへ、今日は久しぶりだからもっと色々して欲しいな~……具体的には、喉とか、頭とかもゴロゴロなでなでしてほしいな~、なんて……えへへ」


「ふふふっ、もちろんですよ、秋穂さん! それじゃあお言葉に甘えて……ごろごろ~」


「にゃ~ん、そこ好き、大好き……えへへ、大好きにゃ~……ふへへ、悠真君、私幸せだ……悠真君にこうしてしてもらえるの、私幸せで、お腹ポカポカ気持ちよくなる……えへへ、しゅき、悠真君……ぬへへ」


「……はい、俺も大好きです、秋穂さん!」

 ……蕩けた表情で、幸せそうな表情でそう言う秋穂さんに、一瞬風花ちゃんの姿が被ってしまった。


 俺が秋穂さんの事、ちゃんと好きになれた理由―その一つは、ちょっと風花ちゃんに似てるから、って言うのもあるんだろうな。

 風花ちゃんと似てて、風花ちゃんみたいな反応してくれて、風花ちゃんの……そんな感じで、秋穂さん求めてたこともあったんだろうな。


「秋穂さん、ここも好きですか? ここ、どうですか?」


「にゃ~ん、しゅき、だいすき……えへへ、悠真君にそんなされると、お料理出来なくなっちゃうよ、気持ちよすぎて、あたまほわほわして、お料理出来なくなっちゃう……えへへ、大好きだよ、悠真君。本当に大好きだよ、悠真君……んっ、そこりゃめ、本当に……えへへ、すき」


「俺もです! 俺も大好きです、秋穂さん!」

 でも今は違う。

 秋穂さんは風花ちゃんの代わりじゃない、俺の大好きな秋穂さんなんだから! ちゃんと秋穂さんの事、大好きなんだから!!!



 ~~~


「翠ちゃん、もう、無理……ハァハァ……翠ちゃん……」


「ダメ、消えない、消えない……消えない、全然消えない、残る、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い……もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと……風花、風花! 風花、もっと! もっともっと、もっとだよ、風花! 風花、風花!!!」


「ひえっ、翠ちゃん……翠ちゃん……」


「もっとだよ、風花! 風花から消えるまで……私で風花が満たされるまで……!」



 ★★★

 今日はほんわか短め。

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