陰陽の崩壊

メロンパン

第1話 壊れた均衡

現代の人々はこのような言葉をよく耳にする。「人はみんな平等だ。」「違いを認める。」「人間として尊重される権利がある」と。しかし、いくら時代が変わっても世の中はそうではない。形が違うだけで差別や偏見はずっと存在している。特にまだ、未成熟な青少年と若者たちの間でこのような現象がよく現れる。大人の世界では若者たちのよう直接的ではないが、見ず知らず存在している。若者たちの間には「陰キャ」「陽キャ」という言葉がある。簡単に言うと「陰キャ」は不器用な人、またはモテない人を意味して、「陽キャ」は器用な人、モテる人を意味する。そして今日こんにち陽キャたちによる陰キャたちの支配が始まった。


「はぁ、市役所に行きたくないな。登校時間遅くなったのはいいんだが」


彼の名は「高橋 誠」 成績が悪い陰キャの男子高校生だ。

今日から適用される新たな法律のため今から烙印を刻みに市役所へ行かなければならない。外ではパトカーが巡回しながら新たな法律を知らせている。


今日から陰陽従順の法が適用されました。陰キャのみなさんは今日までに月の烙印を近くの市役所にて左手の甲に刻んでください。陽キャのみなさんは太陽の紋章を右手の甲に刻んでください。尚、烙印を拒んだ者には死刑が施されます。紋章を拒んだ者には罰はありませんが代わりに支配権が与えられません。


繰り返します。


「陰陽従順 第一条 月の烙印が刻まれた陰キャは太陽の紋章を持っている陽キャに従わなければならない。また、全ての陰キャは月の烙印を刻まなければならない。違反した者は死刑とする。」


「はぁ、終わった。本当に月の烙印を刻まれるとは、、」


「よ、高橋お前コンビニに行って俺の弁当買ってこい。」


彼は陽キャの「池田 駿」成績優秀のイケメン。高橋と同じクラスであり親しい親友だった。彼の右手の甲には太陽の紋章が刻まれている。

登校の道で池田に遭った高橋は池田に短く答えたあと弁当を買って池田に戻る。


「お、お前便利だな。よし、今日から毎日俺の弁当担当はお前だ。」


まさに、奴隷と同じ扱い。高橋はこれに順応する自分と変わった友達に悔しさと怒りを感じる。

だけど、法律で定められた以上従うしかない。もし、逆らったら死刑される。

それでも高橋はいつかこんな世界を自分が変えると心に誓う。そんな考えをしてる途中一人の女性が現れる。


「やほー」


彼女は「宮崎梨花」お金持ちで美人。高橋と同じクラスの女子高生だ。もちろん彼女にも太陽の紋章がある。彼女もまた高橋の友達だった。


「お、梨花ちゃん、今日も綺麗だな。」


梨花の声に答える池田。二人は仲良く互いを褒める。それを見る高橋はただ、黙っている。


「そいや、高橋くんは成績悪いよね、見た目もまぁまぁだし、努力したら?まぁ烙印がある以上無理だろうけどw」


完全になめられる高橋。それでもぐっと我慢する。

授業が終わり、昼ご飯の時間。同じ陰キャである「山田一郎」が高橋にご飯を誘う。

彼は経済的に貧しくて烙印を刻まれた学生だ。一緒にご飯を食べようとするそのとき誰かが二人に声をかける。


「貧乏人と成績悪いやつのコラボか、受けるwww」


二人を嗤うのは運動上手で多数の陰キャを奴隷として持ってる黒田一馬 彼もまた太陽の紋章を刻まれた陽キャの学生だ。山田とは中学からの友達だった。二人を嗤うことに優越ゆえつを感じた一馬はさらにひどいことを言う。


「お前ら俺と違って彼女もないんだよな、俺が紹介してやろうかw ほら、連れてこい」


奴隷になった陰キャたちが連れて来るのは二人の陰キャの女子高生


「特別にお前らにやるよ、感謝するんだな。てか、陰キャカップルとか可笑しくて腹痛いわwww」


腐った笑みを浮かび去り行く一馬。4人は心を傷ついたままそれを眺める。ちなみに連れられて来た彼女たちの名前は「八雲 彩音」と「赤井 由香」二人はそれぞれ内気とブスが理由で烙印を刻まれた。


「屋上に行こう」


高橋の提案で4人は屋上に向かう。4人は自己紹介を終えたあと無口のままご飯を食べる。そんな流れの中、高橋がみんなに声をかける。


「君たちはこれでいいのか、俺は変えたい。この世界を、だって人間はみんな平等でしょ?こんなの可笑しいんじゃない?」


みんなに自分の意見を言う高橋、でも3人は何も言わない。なぜなら自分たちがダメだと思ってるからだ。陽キャの支配が始まって陰キャたちは自信を無くしてる。そしてそれが長くなればなるほど心を蝕む。少しして彩音と由香が口を開く。


「無理に決まってるでしょ、、変えたくても法律が禁じているから。私にはできない。」


「私も戦う自信がない、ブスなのも嫌いのにもう、どうすればいいかわからない。」


それでも高橋は3人を説得する。


「どうやって変える?まさか腕であいつらに勝つつもり?勝っても変わらないよ?てか、それ以前に通報されて逮捕されるよ?」


山田が言い出す。


「政府を打倒する。」


「お前自分が何を言ってるのか分かってるの?!政府を打倒するってそれ反逆だよ? 死刑になるんだよ?」


「いや、死なない。俺は決めたんだ。人はみんな平等であることを証明すると。それにこんな有り得ない法を作った政府を俺は許さない。」


「政府軍は強いんだよ?何にせよ外の怪物と戦ってるんだから」


彼らが住んでる国の外では怪物が入ってくる。その怪物の正体は人の闇が具現化したもの。特に差別や偏見を原にした怪物が一番強い。


「覚悟はできてる。それに俺たちが何のために戦いを学んでると思う?人々を守り政府を打倒するためでしょ? 彩音と由香も力を貸してほしい。誰かが声を出さないと何も変えられない。それに変わってしまった陽キャたちも助けたい。」


そう、実は高橋たちが通ってる学校は普通の学校ではない。一般の授業に加わって魔力が秘められたあらゆる武器を使いこなす技術を学ぶ、言わば軍事学校だ。学生たちは欲しい武器を一つ選びその武器を使いこなす技術を習う。本来は陰陽従順が入る前、怪物から人々を守るためこのような教育を行ったが今はそれと同時に政府を打倒するために学ぶ。もちろん、政府打倒の意志を持ってる学生のほとんどは陰キャで稀に太陽の紋章を受けてない学生たちもいる。陽キャたちも元々は人々を守るため武器の授業を受けていた。しかし、太陽の紋章が刻まれた今は腐敗した政府の守護と陰キャたちを支配するため学ぶ。


ちなみに太陽の紋章は二つの能力がある。一つは人に対する偏見や差別の考えを増幅させる能力。もう、一つは刻まれた人々を政府の意のままに従わせる能力。陽キャたちも元々性悪な一部を除くとただ、器用な所がある普通の人間だった。でも、今は支配者となって権力を振舞っている。実は陽キャたちには陰陽従順が適用される一日前に政府の計画があった。それは才能ある者や金持ちなどの器用な人たちの携帯に政府の宛先でメッセージを送ることだった。誰にも言わず市役所にて紋章を刻むと金をくれるというメッセージに惑わされたものたちは紋章を刻まれ、今の陽キャとなったのだ。もちろん高橋を含め陰キャの人たちはそれを知らない。変わったことだけを知ってるだけ。何故なら紋章を刻まれた彼らは政府に操られもう一度市役所に行ったからだ。


「陰キャなのに正義感強いし自信満々だな。お前、本当は陽キャだったんじゃない? はぁ、仕方ない。僕も力を貸す。確かにこのままだと惨めで耐えられん。」


「私たちも力を貸すね、本当は怖いけど、やっぱこんな扱いは嫌。」


こうやって3人を説得した高橋は感謝の挨拶を伝える。そして、、


「そいや、彩音と由香どっちが俺の彼女?」


高橋が言い出す。


「はぁ?な、、何言ってる?彼女なわけないでしょ!このバカ!」


由香の顔が真っ赤になる。


「うわ、由香怖いな。。」


「わ。。私はその。。高橋くんなら良いかと。。」


「おい、僕は?お前ら酷くない?陰キャが陰キャを排除するとどうするんだよ。」


こうして4人の陰キャたちの間で絆が芽生える。







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