画鬼(ガキ)の攪乱、落花の匂へ

触れなば落ちん 花風情

いと美しき 手弱女たおやめ

匂ひ立つ色 こいねが



いて画いて画き尽くし

森羅万象画けぬものなし


画鬼ガキと呼ばれたこの俺が

千態万様せんたいばんよう、幾遍画いても画き切れぬ


その白きかんばせ 烏羽玉ぬばたまの黒き流れる艶髪の

すらりと伸びるその珠手たまで 

世にたとえなきその麗容れいよう


この筆のただ一筋も貴女を表わすことが出来ぬ


どうか


どうか


どうか


たなごころより零れる花心はなごころ

どうかこの手にとどまり見届けてくれ


卑しく驕ったこの画鬼が

花に焦がれて燃え尽きるのを



◇◇◇◇◇



回文……にしようとして失敗したので恋文にしたやつ。


イメージは天才絵師の恋。

一目惚れした美人さんが好きすぎて辛いのでずっと一緒にいて、みたいな?


千態万様:色々なものの、様々な様子や状態

烏羽玉:「黒」にかかる枕詞

珠手(玉手):美しい手のたとえ

麗容:容姿の美しいさま

花心:うつろいやすい心



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る