第35話 ワイズマンの終わり


 「やっぱりこっちに行く」


 「シルバー様、異形の悪魔を終わらせなくても良いのですか?」


 「うん。迂回するの面倒くさいから、こっちに行く」


 「わかりました」



 ミーチェは急旋回して方向転換した。



 「シルバー様、人間が支配する場所まで2日間はかかると思います。私の背でゆっくとお休みください」


 「うん。着いたら起こして」



 シルバーはミーチェの背にしがみつきながら眠りに着いた。



 「久しぶりの人間が住む町に行くことが出来る。もう、種の保存は出来ないが、思う存分に人間を犯しまくってやる。俺たちが受けた絶望を人間達も味わうが良い」



 ミーチェの目は煌煌と輝き、高鳴る鼓動を抑えるのを必死である。シルバーの手のよって獣人族は殲滅されたが、その怒りの矛先は人間に向けられた。異常な興奮状態でアドレナリンが高騰して、2日間休むことなく走り続けたミーチェは最果て町フォーチューンに到着した。


 最果ての町フォーチューンは、10年前の戦争により、アリストロメリア国の支配下になったが、この町の領主は以前と変わらずに【賢者】の称号をもつワイズマンである。ワイズマンは獣人国家で武者修行をした時に、獣人のおもちゃにされて精魂果てるまで蹂躙され、男性との性行のすばらしさを知り、女性への興味を失った。しかし、人間の数倍のある性器での性行により、獣人への恐怖は体に染みついてしまった。自分のことを支配していた獣人国家バリアシオンのレーベの町を支配していたレオーネが、10年前の大爆発によって死んだことを知り、やっとワイズマンに平穏な日々が訪れたのである。


 ワイズマンは、最果ての町フォーチューンを男性だけの町にして、あらゆる町から男性を誘拐して、最高のハーレムを築いて性の探求に明け暮れていた。そんな、人生最高の輝きを手にしたワイズマンの幸せの絶頂期も終焉の日を迎える時が来た。



 「シルバー様、人間の町フォーチューンに到着しました」


 「うん。すぐに終わらすね」


 「待ってください!シルバー様。ここからは甘ーい男性臭がただよっています。私にこの町を終わらさせてもらえないでしょうか?」


 「ミーちゃんが終わらせるの?」


 「はい。私が一人残らず精液を吸い取ってきます」


 「精液?なんのことかわからないけど、ミーちゃんにお願いするね」


 「ありがとうございます」



 ミーチェはシルバーを町へ入る門の近くに降ろすと、疾風のごとく走り出し、門を守る4名の兵士の前に行く。



 「なぜ!獣人がここにいるのだ」



 ミーチェの姿を見た門兵は声高に叫ぶ。しかし、ミーチェは鋭い爪を前後左右に振り落とし、一瞬で門兵の鎧を破壊して全裸にした。



 「何をするのだ!」



 あわてて体を隠す門兵。そして、その光景を見ていた3人の門兵は、目をあんぐりとさせて腰を抜かす。



 「獣人に・・・獣人に犯される」



 人間世界では獣人は男性を蹂躙するおぞましい種族だとされている。3人の門兵が怯えて動けない間にミーチェは全裸になった門兵に襲い掛かり、自慢の性器を門兵の門に挿入する。いつものミーチェなら紳士的に相手をいたわりながら前戯を楽しむが、今回はうっぷんを晴らすための性行なので、相手へのいたわりなどない。ミーチェの性器は門兵の内臓まで達してしまい。3回腰を振ると門兵の内臓は破裂して死んでしまった。



 「次はお前たちの番だ」



 ミーチェは残りの3名も同様に鋭い爪で全裸にした後、腰を振って内臓を破壊して瞬殺した。



 「全然物足りない。もっと、もっとエクスタシーが欲しい!」



 ミーチェは町の門を破壊して、町中に侵入して手あたり次第人間を襲っていく。1時間後には町の半数はミーチェに蹂躙されて命を失った。



 「ワイズマン様、猫の獣人が町で暴れています」


 「猫の獣人だと!もしかして、全身が白の毛におおわれ黒のまだら模様がある女性のような獣人なのか?」


 「はい。そのような姿をしております」


 「ミーチェが・・・来てしまったのか」



 世界の絶望を見たかのような表情をしたワイズマンは、その場で立ちすくみ意識を失った。



 「ワイズマン様、ワイズマン様しっかりしてください」



 部下の必死の問いかけに意識を取り戻す。



 「すまない・・・最悪の事態がおきているようだ」


 「ワイズマン様は猫の獣人のことをご存じなのですか?」


 「ああ、獣人族の最悪最強最上の3強の1人ミーチェだ。3強の中で1番厄介な獣人だ。逃げるしか助かる方法はない」


 「【賢者】の称号を持つワイズマン様でも、敵わないのでしょうか?」

 

 「獣人の前では称号など飾りにすぎん」


 「しかし、ワイズマン様の至高の魔法を放てば獣人の強固な体でさえ破壊すると聞いています」


 「それは下級の獣人相手だったらの話しだ。獣人界のトップに君臨するミーチェに通用する魔法など俺は会得していない。ミーチェに見つかる前に逃げるぞ!」


 「わかりました」


 『ガシャーン』


 扉が破壊される。



 「見つけたぞ。ワイズマン!」



 ミーチェは至福の笑みを浮かべ、ワイズマンは絶望の笑みを浮かべながら衣服を脱ぎだした。



 「命だけはお救いください」



 ワイズマンは口を大きく開けてミーチェにすり寄った。

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世界の終焉 休載 にんじん太郎 @ninjinmazui

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