私と踊ろう

第1話

ここはとある船（ふね）の上（うえ）。

たくさんの人（ひと）々（びと）が乗（の）る中（なか）で、

武（ぶ）装（そう）探（たん）偵（てい）社（しゃ）もまた、この船（ふね）に乗（の）っているのだった。

更（こう）衣（い）室（しつ）で着（き）替（が）えているのは中（なか）島（じま）敦（あつし）と泉（いずみ）鏡（きょう）花（か）。

鏡（きょう）花（か）はドレス、敦（あつし）はタキシードに着（き）替（が）えている。

「鏡（きょう）花（か）ちゃん！ドレス綺（き）麗（れい）だね！」

「そ、そう・・・？」

それは、紅（あか）い輝（かがや）きを放（はな）ち、鏡（きょう）花（か）とは思（おも）えぬ程（ほど）の美（うつく）しさであった。

「あ、そういえば太（だ）宰（ざい）さんは？」

敦（あつし）は探（たん）偵（てい）社（しゃ）の先（せん）輩（ぱい）のことが気（き）になった。

「今（いま）着（き）替（が）え中（ちゅう）。」

「そっか。」

その時（とき）、更（こう）衣（い）室（しつ）の扉（とびら）が開（ひら）かれた。

それをみた二人（ふたり）は絶（ぜっ）句（く）した。

「どうだい、二人（ふたり）とも？似（に）合（あ）ってるかい？」

「似（に）合（あ）ってはいますけど・・・。」

それはエメラルドグリーンに水（みず）色（いろ）のレースのドレスであった。

それはまるで薬（くすり）を飲（の）んで人（にん）間（げん）になった人（にん）魚（ぎょ）姫（ひめ）のようであった。

「なんでドレスなんですか？」

敦（あつし）は引（ひ）いた目（め）で太（だ）宰（ざい）を見（み）た。

「ほらー、君（きみ）たちのにも名（な）前（まえ）のついてたでしょ？」

「確（たし）かについてましたけど・・・」

そこでは、ドレスやタキシードが既（すで）に決（き）められていて、名（な）前（まえ）のプレートがついてある。

「それでドレス・・・。」

「間（ま）違（ちが）えたのね。」

「鏡（きょう）花（か）ちゃん⁉︎冷（れい）静（せい）だねぇ⁉︎」

そんな話（はなし）をしていたら、

「武（ぶ）装（そう）探（たん）偵（てい）社（しゃ）の皆（みな）さーん！もうそろそろでーす！」

「はーい！」

ダンスの時（じ）間（かん）がきた。

＿　＿　＿　＿　＿

〜♪

よし、おど・・・

あれは・・・、中（ちゅう）也（や）⁉︎

何（な）故（ぜ）こんなところに⁉︎

気（き）付（づ）かれないうちにダンスはやめておこう・・・。

・・・よし！自（じ）殺（さつ）しよう！

＿　＿　＿　＿　＿

ﾋｭｳﾙﾙﾙﾙ

「よし、飛（と）ぼう。」

ﾊﾟｯ

太（だ）宰（ざい）は落（お）ちて行った。

その姿（すがた）は、泡（あわ）になっていく人（にん）魚（ぎょ）姫（ひめ）のようだった。

その時（とき）だった。

七（なな）色（いろ）の光（ひかり）を放（はな）つ謎（なぞ）の物（ぶっ）体（たい）が彼（かれ）を包（つつ）み込（こ）んだ。

彼（かれ）は跡（あと）形（かた）もなく消（き）えた。