“伝説のパーティー"

 完ッ全に、思い出した………ッ!!



 どうも皆さま御機嫌よう(そしてお久しぶり)。ただ今自分のしでかした事に冷や汗が止まらない秋月あきづき かえでです。


 いや、だって、まさか、ろ、ローザさんたちパーティーが…………



 ――――私が小説に出してたトップクラスパーティーとか、夢にも思うわけないじゃんっ!!





 事の発端はあのやけどドッキリから1時間後。

 ちょうど昨日私がさまよい歩いていた森を、今度はローザさんたちと4人で歩いていた。


『んじゃ!せっかくだし、カエデにあたしたちの戦い方を見てもらおうか!』


 というローザさんの提案(というよりもはや指令)で、『森に出没するダークウルフ15体の討伐』というクエストを受けることになり…………


 ちなみにダークウルフというのは、通常のオオカミ的な生物が、ある特殊な状況下でなぜか変異し、ツノが生え、毛皮は鋼鉄のようになり、おまけに人体に有毒な瘴気を発するようになるんだとか。


 で、この瘴気というやつがなかなか厄介らしく。

 なんと、体の動きを鈍くすると共に、直近の記憶を奪う効果があるんだそうな!



 え、それ結構危険なのでは…………?と思ったけど、頼れる先輩方は『ダークウルフですか。まぁ規模が分かっているだけやりやすいですわね』『ん。いつもみたいにすれば楽勝』『さ、さっさと終わらせて美味しい飯屋でカエデの歓迎会しなくちゃね!』と、部活にでも行くがごとくスタスタ歩いて行っちゃったので、新人である私はすごすご付いていくしかありませんでした…………



 はい。そんで今。



「ふぅ〜、あー終わった終わった!」

「何事もなくてよかったですわね!そうだ、このクエストの報酬で、今夜はちょっとフンパツしちゃいましょう!」

「それはいい案。………でも、ちょっと疲れたし、帰ったらお風呂に入りたい」



 可愛くトークする美女三人。足元にはダークウルフだった肉塊。



「そうですわね、カティア様は今回も大活躍でしたものね!

「そーだねー、ウチの主砲!って感じ」

「………ありがとう。でも、今回はカエデも頑張ってくれた。ね、カエデ」

「あ、は、はい………」



 無表情にこちらをみる幼女先輩。(しかし可愛い)

 足元には首が綺麗にカットされたダークウルフだったモノ。



「いやーでも、初めてで五匹討伐はほんとすごいよ。やっぱあたしの目に狂いはなかったね!」

「ええ、カエデさんのような優秀な方が入ってくださって本当に嬉しいですわ!」

「あ、ありがとうございます………でも、私なんかより皆さんの連携の方が………」



 ローザさんたちパーティーの戦い方はこうだ。


 ①まず、【幸運】のスキル持ちのローザさんが森の中を感性の赴くままに進む

 ②ダークウルフなどの敵が近くにいるのを《黒魔導士ウィザード》のカティアちゃん@魔力に敏感が察知

 ③そして《白魔導士ソルシエール》のリーリアさんが【探知】の補助魔法で相手の正確な位置を捕捉し共有

 ④で、カティアちゃんの準備が整ったらいきなり大技の魔法ぶち込んでタコ殴り〜



 ちなみに今回は風の刃みたいなのがめっちゃ出るやつでした。

 触ったら死ぬと思ったので逃げようとしてる弱虫チキンウルフをひったすらレイピアでブッ刺しておりましたまる。



 はい、で、そこまで見て私は完全に思い出したのです。


 あ、これ見たことある。


 正確にはイメージしたことある。もっと言うと文字に起こしたことある。


 この人たち小説に出てきてたわ。ハハッ⭐︎(某テーマパークのネズミ的な笑い)








 私の書いた小説が始まるのは、この世界で今から3年後。

 主な舞台はこの国の王都。

 そして、異世界に来たばかりで右も左も分からない主人公に手を差し伸べるのが―――――



 王国でも5本の指に入る最強のパーティー。

 身寄りのない女性のみで構成された、超少数精鋭型の伝説のパーティー。

 そのリーダーにして、鮮やかな茜色の髪とどんな攻撃も毒も通さない鉄壁の防御力から、ついた異名は“王国の紅い盾”。




 今私の目の前に居る、ローザ・サンチェスその人である。

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【1900pv感謝!】私の書いた小説が異世界になっているんだが…… 霜月 アカリ @s-akari

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