クレアちゃんのお願い
「と、とりあえず、これで私の使えるスキルは大体試したのかな?」
さっさとこの話題(昼間のカン違いについて)から離れたかった私は、少々ぎこちなくなりつつも質問をした。
「そーですねー、今使ってみていただいたのが、『創造者』にしか使えないスキルになりますー」
「【創造者】……………本当にすごいスキルだね。作れて、消せて、コピーもできて…………」
ちょっと発動がめんどくさいけど、便利すぎやしないか?
でもこれさえあれば、
もしかしたらあのマンガのこの技とかス●ンドとか……………………
「秋月、楓さん」
「ほえっ!?な、なに?」
妄想の世界に入っていたところにいきなり声をかけられ、私はびっくりして飛び上がってしまう。
…………………変な声出ちゃった…………(恥)
「貴女に、していただきたい事があります」
「へ?」
そう言うクレアちゃんは、真剣だけど、どこか迷うような表情で、でも真っ直ぐに私を見ていた。
「先ほども言いましたが、わたし達『神』には、世界の『維持』しかできません。ですが、この世界はまだ不完全で、なにもかも途中なんです……………………それを『完全』に変えられるのは、この世界で、貴女ただひとりだけ」
そこで一度言葉を切り、意を決したようにすっと息を吸う。
「どうか、この世界のためにその力を使っていただけませんか?」
「え………」
突然の言葉に、私は――――――――――――――――――
「なんだぁ、そんなこと?」
ほっと脱力して返した。
あーびっくりした!急に『してほしい事がある』なんて言うから、魔王とでも戦わされるのかと思っちゃった。
「別に全然いいよ?というか、元々そのために呼んだんでしょ?」
「え?えっと、確かにそうなんですけどー………………い、いいんですかー?」
「うん」
クレアちゃんはよほど驚いたのか、大きな目をまん丸くしている。
さっきは私が目を丸くしてたなぁ。まあ私はこんなに可愛くならなかっただろうけど。
…………………………あ、自分で言ってて悲しくなってきちゃった………………
「―――んで………………」
「え?」
「なんで、ですか?貴女はこの頼みを断って、これからこの世界で自由に生きることもできたのに………………」
なんで。
なんでだろう。明確な答えはない。
けど、きっと。
「うーん…………………強いて言えば、私が作ったから、じゃない?」
元々この小説は、私の親友が主人公だった。
その子とは本当に仲が良くて、私の書いた小説を楽しそうに読んでくれて。
もう一人の親友は、キャラクターの絵を書いてくれたり、デザインを考えてくれたりしてくれて。
いつも読んでくれたその子達のおかげで、私は小説を書くのが、本当に楽しくてしかたがなかった。
「私、この
そう言えば、クレアちゃんはしばらく私を呆けたように見つめて、そして眉を少し下げて微笑んだ。
「ありがとう、ございます」
その微笑みは、今日見たクレアちゃんの表情のどれよりも可愛くて美しくて綺麗で、私のほうが逆に見惚れてしまうくらいだった。
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これまでに登場した設定をちょっとだけ変えたので、よろしければ。
近況ノート「ちょっと設定をいじりました……………」
https://kakuyomu.jp/users/s-akari/news/16817330654600261805
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