作者っつてもただの趣味ですけどね

「作者…………って、私のこと……?」


 呆然ぼうぜんとしてつぶやく私に、クレアさんは「そうです」とうなずく。


「まぁ実験もしてみてー、結果はわたしたちの予想通り。貴女あなたの魂には、この世界を『創り出す』力がありましたー」

「そんな、結果ってどういう………」


 こと、とこうとして、ひとつ思い当たる節がある事に気付いた。


 静かな森の中。

 私に襲いかかる怪物。


『いやっ………!』


 顔を背ける私。


 そして、次の瞬間には――――――



「もしかして、昼間の………?」

「お気付きになりましたー?あのモンスターは、わたしが用意したんですー」

「は?」


 え?用意した?なにそれ??

 思わず変な声が出る。いやだって仕方ないじゃん。あんな怖かったヤツを、クレアさんが?


「貴女が本当に『創造者』ならばー、身を守ろうと何らかの力が働くはず。そう考えたんですが、結果は想像以上でしたー」

「じゃあ、あのモンスターは」



「はい。貴女が



 その言葉に、息を飲む。

 いなくなったのでも、移動したのでもなかった。


 あれは『消えた』んだ。私が『嫌だ』と言ったから。



「書いた文章を、消しゴムで消すように。その部分だけ選択して、カットするように。あのモンスターは、貴女がにしたんですー」


「で、でも、私のスキルは【偽装ぎそう】で………」

「お分かりになりませんかー?貴女あなたのそれはレベル99。そこまで行くと『鑑定晶かんていしょう』の結果だって改竄かいざんできるんですよー」


 ………そんな。


『メインスキル:【偽装ぎそう】』


 あの時見た結果はウソだった、ってこと?



「貴女の、真のスキルをお見せしましょう」



 そう言って、クレアさんはスッと私に手をかざす。


 音もなく、『鑑定晶』によく似た画面が現れた。




「スキル……【創造者そうぞうしゃ】。この世界で唯一無二、世界を創り出す力ですー」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る