高島くん 電子生命体編

まめでんきゅう–ねこ

第1話 スマホ強盗

ズドォォォォォォオン

いきなりキャリアショップ内に、何かが壊れる音が響いた。商品が落ちた音とは到底思えない。人々は音のする方へ向いた。

なんと、壁が破壊されており、その向こうには、杖を持った少年が立っていた。逆光で顔や服装がよく見えない。

「(……え?)」

「(何が起こるんだ?)」

「もしかして強盗⁉︎)」

少年はフワッと浮くと、店内に入ってきて、こう叫んだ。

「ドルフィンを出せ。ドルフィンを奪いに来た」

ドルフィン…それは、世界最高のAIを搭載した、スマートフォンである。その価値は誰だってわかるだろう。値打ちがつかないほどの高級品であり、保管場所すら明かされてない。が、ミライ屋という日本の企業が開発し、保管しているため、おそらく日本国内にあるだろう。

彼はドルフィンを狙ってやってきた強盗らしい。壁を破壊したのも奴の仕業であろう。

「……な、何を言っている!うちにドルフィンがあるわけないだろう。そんなことより、破壊した壁はどうする?」

店長が駆け寄ってきて、少年に言った。少年はため息をすると、店長を睨んでこう言った。

「本当に?場所は明かされてないから、ここにあるかもしれない。探させてもらいます」

「だめだ。保護者を呼ぶぞ?それとも警察がいいか?」

「………保護者はいない…。警察しかないな」

「そうか。……おい、山崎、電話しといて。警察に。…………それで、その杖はなんだ?」

「これ?これはね、お前たちを撃退するためのものだよ!!!!!!」

少年の杖の先についた眼球が、赤い光を放った。

斥力せきりょくって知ってるか?」

「えっとー、引力の反対でしょ?」

「正解」

次の瞬間、店長は端の壁まで吹き飛ばされた。人々が騒いた。

「……皆さん、あの店長のようになりたいですか?なりたくなければ、そこを退いてください」

少年は杖の先の眼球を通りかかる人にいちいち見せつけた。そして、奥の部屋を探した。

「…ないな。この店もダメかぁ」

倉庫から出てきた少年は、店の外に停まっているパトカーに気づいた。

「おう、警察だ!!!!!!」

「動くな!!!!!!」

破壊されたところから、警察官が数人入ってきた。

「警察だ!大人しく来い!君だろ?犯人は!」

「その通りです。私が犯人ですよ」

「お、認めるようだな。では大人しk」

「捕まるとは言ってない」

少年の杖から雷が放たれ、目の前の警察官数人を感電させた。

「この私、工藤くどう神自しんじの杖、iがある限り、指1本触れられない!」

「いてぇ………、その杖さえなければ」

警察が奪おうと、手を伸ばしたが、失敗。

「フフ、iは自我を持つ杖。例え奪えても、信用しない者には、一切協力をしないだろう。私とiは、誰にも切れない友情で繋がっているのだ」

神自の杖、iに巻かれている、曲線が飛んだと思うと、警察官たちをグルリと巻いた。

「なんだ⁉︎何をする!!!!!!」

「警察が捕まる側だ!私はスマホを探しに来ただけなのに!」

「スマホ?何故?」

「お前らに語るほどのことではない。ちなみに探しているスマホはドルフィンだ。ミライ屋に宣戦布告する!私に見つからないと思う場所に、ドルフィンを隠してみろ!必ず見つけ出してやろう!!!!!!」

神自は叫ぶと、一瞬で消えた。

「…あいつは⁉︎」

「逃げられたみたいですね」

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