カーレーター(乗り物)

 体調を崩して半分ぐらい寝てる生活をしていたんですが、その時にスマホの記事で、


「カーレーター」


 を見て、懐かしく思って思わず書く予定に入れてしまいました。


「カーレーター」


 この名前を見て、


「懐かしい」


 そう思える方、神戸の出身ではありませんか?

 ああ、やっぱりやっぱり。


 そう言い切れるのは、今では現存するのは「須磨浦山上遊園」にあるカーレーター一台だけだからです。かつては「びわ湖バレイ」にもあったと今回初めて知ったんですが、少なくとも私が知るのは須磨のこの1台だけです。


 その名の通り「カー(車)」のついた「エレベーター」みたいな乗り物なんですが、ある時、この乗り物が、


「日本一乗り心地の悪い乗り物」


 として紹介されていて、


「ええっ!」


 と、びっくりしたことがありました。それ以来、同じようなネタでテレビに取り上げられているのを何回か見たことがあります。


 どうしてびっくりしたかと言いますと、私はこの乗り物が大好きだったからです。

 小さい頃から須磨浦山上遊園へ行くと、乗りたくてたまらなくて、でも毎回は乗せてもらえず横目で見て歩いて登っていたカーレーター、まさか「乗り心地が悪い」と言われてるとは思いもしませんでした。


 私は物心つく頃から中学卒業までを神戸市の須磨区で育ったんですが、近くにあったこともあり、家や地域から、学校からもよく須磨浦公園へ行ってました。

 公園の入り口、海のすぐそばからはまずロープウェーで登ります。「海彦」「山彦」という2台のロープェーが交代で上がったり下がったり、途中ですれ違いながら海辺から山の中腹なのかな、そこまでまず移動します。


 次に乗るのが「カーレーター」なんですが、これがなかなか乗る機会がないのです。

 どうしてかと言いますと、多分一番の理由は「距離が短いから」じゃないかなと思います。本当にすぐなんですよ、カーレーターの下から上まで。なので登りはもちろん、下りは大部分が歩いて降りてました。多分上から下までも乗れると思うんですけどね、降りた記憶がないこともないと思うので。


 そうしてカーレーターを降りたら次は「リフト」です。

 リフトはみなさんがよく知ってるあのリフト、1人乗りです。谷を渡って山上まで行けるんですが、その途中、下に張った安全用でしょうね、網の途中に「せっつのくに」「はりまのくに」と、2つの地域の境目が書いてあり、そこを通るのがとても楽しみでした。

 親に抱えられる小さい子は無理ですが、そこそこ大きくなってくると一人で乗せてもらい、「靴を落とさないように、足をぶらぶらしないで」と親に注意されて、ドキドキしながら乗っていました。


 この3点セットで山上まで行くのがそれはもう楽しかったです。

 学校からの遠足だと、年齢に応じて歩かせられる距離が違い、乗り物も違ってくるんですが、そのどれもでカーレーターには乗せてもらえてなかったと思います。それほど距離が短いので、もったいないんでしょうね。


 さて、肝心のカーレーターの話に入ります。


 乗り心地、確かにかなりガタガタと振動は来るんですが、それが面白かったんですよね。だからそれを「乗り心地が悪い」と言われたことに驚きながらも、静かな乗り物を期待している人には確かにそうなのかも、とも思います。


 乗り場で待っていると金属でできた箱が目の前に来て、止まらないので順番に乗り込んでいきます。その箱が坂に差し掛かると、なんて言っていいんでしょうね、下の支えの部分は坂に添って角度が変わるんですが、乗っている箱は水平を保とうとそのままで浮き上がったようになります。その箱がガタガタ言いながら登っていくのが、これもう最高に面白かった! 前回乗ったのは、まだ母が元気だった頃なのでもう十数年前になりますが、大人はいいですね、子どもと違って自分の財力で「乗る」と決めたら乗れますから!


 本当に短い、調べてみたら乗車時間は2分、それで数百円なので、そりゃ子どもを連れた親御さんは「ここは歩こう」となるのも分かります。その程度の短い乗り物なんですが、しょっちゅう行くのではない方は、行かれたらぜひとも乗っていただきたいと思います。何しろ、もう現存しているのはここだけですしね。


 須磨浦公園はすぐ見える場所にありますし、車でその近くも結構通りますが、そういやもう長いこと行ってません。気候が良くなったら一度また行ってみたいなあ。そして、その時には絶対乗りますよ、カーレーター。できたら下りも乗りたいものです。

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