沈黙は星々の乾き(漫画)

 篠原烏童のSFファンタジー、全3巻です。


 お話の舞台は今からはるか未来、カオス星系にあるディネターという地球と似た惑星で、主人公はシーバー、職業は「狩人ハンター」です。


 「ハンター」というのは、用心棒や賞金稼ぎ、時に殺人者にもなる、そういう職業で、シーバーが護衛に入っていたある宇宙船が宇宙海賊に襲撃されたところから話は始まります。


 シーバーには相棒がいたのですが、その相棒が海賊との戦闘で命を落とし、その絶命の時にある人間のことを頼んで死んでいきます。そしてシーバーは相棒の指定した店までその人物に会いに行くことに。

 最初、シーバーはその人物が相棒の妻だと思って行くのですが、行ってみたらまだ若い、見た目は女性っぽい若い男。どうしてこの人間をと驚きますが、この「人間」が実は人間ではない。


「バイオロイド」

 

 遺伝子操作などで人工的に作られた「生体アンドロイド」で、相棒によって「ジャン」と名付けられていました。


 混乱するシーバーにジャンが涙を流しながらこう言います。


「私はあなたと一緒にいなくてはならない」


 そう言われても、見るからに線が細く、とても自分と一緒にいる、つまり「ハンター」なんぞやれるタイプではない。だが行く当てもないジャンをそのへんにほっておくわけにもいかない。

 とりあえず自分の船(宇宙船です)に乗せ、仕事の場に同行させます。


 仕事とは、相棒を失った襲撃で盗まれた船の荷物を取り返すこと。

 相手は泣く子も黙る大海賊「マクルーファ」、盗まれた荷物の取引の場に忍び込み、まんまと荷物を取り戻したのはいいけれど、シーバーは命の危機に! 

 そこをジャンが命がけで救ってくれて、相棒とすることになります。


 第一話で因縁の相手マクルーファ、そして同じくハンターの「アケーシア」とその相棒の「変身獣メタモルフシャス」にシーバー・ジャンのコンビが認められ、壮大な物語の準備万端が整いました。


 その後は、「昔、人類の故郷の星にいたとされる二本足歩行の動物に似ている」ということから「ミッキー」(さて出典はなんでしょう?)と名付けられたテレパシーを使える生き物、「聖域サンクチュアリ」と呼ばれる自然と人が共存するエリアの人々、そして「ハガート財団」という大商会など、色々な登場人物たちとシーバーたちが出会う話が短編としてつむがれて、ラストに向かって一つの物語が織り上がっていきます。


 ジャンの正体は?

 惑星ディネターの未来は?

 人類の未来は?

 シーバーとは一体どういう人物なのか?


 最後まで読み終わってやっと、全部の謎が解け、その結末からタイトルの意味も理解できる、そんな物語です。


 このお話は3巻で完結しますが、篠原烏童の他の作品に関係者やディネターのその後が出てきたり、他の作品と関連する人物が両方の作品に出てきたりもしていますので、一応タイトルだけ参考に書いておきます。


「ファサード」

「純白の血」


 よろしければ合わせて読んでいただけると楽しいかなと思います。

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