超短編② 「分身」

 私の分身が、目の前で踊っている。部屋に音楽は流れていない、それでも

楽しそうに、にこやかな表情で私の視界に映り込んでは、踊ることをやめない。

 こんなにも生力的な分身はいないだろうなと思い、きっと、分身は私の方なん

じゃないかと考えていると、分身も同じ事を、あるいは全く逆のことを、考えて

いるような気がした。

 私たちの分身は、常に私たちだったのだ。

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