第26話:こんにちは最強さん


「んー.....」


 家のポストに入っていた手紙を見ながら、街道を歩きながら城を目指す。


 手紙には、以下のような事が記されていた


・長いお世辞

・何日の1時に城へ来い

・武器と戦闘用の衣類をまとってくるように


 .....用件については何も書いていない。ハッキリ言って、かなり迷惑だ。用件が書いていないと言うのは、断りづらいことこの上ない。

 なんせ、要件がわからない状況で断ると言う事は、それすなわち貴方とは会いたく無いです、と言っているようなものだ。ただ、要件は噂で何となく察せるが、それも面倒そうだ。

 しかも相手は国王。断るのも会って要件を聞くのも面倒な相手.....


 断れる訳がないだろう。こんなもん。


「と、相も変わらず、華やかさに欠ける城だ」


 そんな事を考えながら歩いていたら、城に着いてしまったようだ。


「はぁ.....行くか」


・・・・・・・


 ガヤガヤ ザワザワ ガヤザワガワ


 王座への扉を少し開けるだけで、中の五月蠅さ《うるさ》が伝わってくる。

 それにしても少し五月蝿すぎる気もするが。

 そして扉を開けきる頃には、中の五月蠅さが落ち着き、多くの視線が自分に向けられていた。


 視線を向けている人の中に......12年前にも、会った事のある者たちも少し居た。王座の方へ目を向けると、誰も居なかった。


 始めに王へ挨拶をしようと思ったが、居ないのなら仕方ないと思い、久しぶりに会う知り合いに挨拶をしようと、知り合いの近くに向かおうとする。その直後。


「ルミナイズ・タクシアス」


(この詠唱.....身体強化系の魔法....いや、律神ツガミの方か。喧嘩でも起き.....ん?)


 いかにもなカスタード色の髪の人が、俺の方に向かって、一秒程度の時間で急接近し、短剣で左眼を狙ってくる。それを地面を蹴るように避け、大きく相手から離れる。


「.....要件は何ですか?」


 いきなり襲いかかってくるような相手に、とても話が通じるとは思えないが、一応質疑を行ってみる。


「私はただ、貴方からよこしまな眼から救おうとしたまでです」


「邪な眼?」

(確かに俺は魔眼持ちだし、見られると怖がるから前髪で両目隠してるはいるが)


「魔眼なんて薄汚れたモノを、勇者体質という極めて恵まれていると言うのに.....」


「?」


 俺が、少し混乱していると、近くから一人の冒険者が、目の前の大いに頭のおかしい人が、俺が来るまでに、他の魔眼持ちの冒険者に喧嘩を売りまくっていた事を教えてくれた。


(......ここまで魔眼を毛嫌いしていて、尚且なおかつかの頭のイカれ具合.....恐らく.....)


「私の手で救えないのなら、貴方も“ラスティス教”に入りませんか?私の様に」


(やっぱりラスティス教か.....)


 流石唯一存在を許されているテロ組織と言われているだけある。恐ろしい魔眼嫌悪だ。

 ただ、“私の様に”の発言から、恐らくこの人も“魔眼による代償”に苦しんでいた故、良かれと思ってやっているんだろう。


 それにしたってどうかとは思うが.....ひとまず、今の自分の境遇を話せば...大丈夫だよな...


「.....いえ、大丈夫です。俺の魔眼には、殆ど代償は無いですし、それに、コレを仕事に生かして、多くの人々を病から救っておりますから」


 善意でやっているなら、相手が十分幸せを掴んでいると知れば平和的に....


「その行為によって、一般の方々がけがれたまなこを良いモノと感じてしまったら、どうするのですか?」


(そうきたか....)


 流石と言うべきか......批判が斜め上過ぎるような.....


「ルミナイズ・ドーピス」


 更に律神を唱えた相手は、俺までの最短距離で走り出す。

 こういう一貫性はあるんだよなぁ。


 俺は相手が来るであろう位置に合わせて、攻撃を避けながら、蹴りを入れようとする。しかし.....


 パチンッ


 指を鳴らす様な音が聞こえ、一瞬時間が止まった様な奇妙な感覚に襲われる。それにより、蹴りが空振ってしまう。

 ただ、相手も自分と同じ感覚に襲われたのだろう。剣が俺の横ではなく、一歩前に.....


(.....剣.....?まぁ今更か。それはそうと)


 俺が相手の足をかけ、手首を掴んで相手の手から剣を落とす。そして、不審者を拘束する様に、両腕を相手の背後でグッとし、近くの使用人さんから、縄を拝借し、ぐるぐる巻きにする。コレで大丈夫。


「くっ....」


(はぁ.....久しぶりでも身体は動くもんだな)


 それはそうと、こんな凶信者と対決するために来たんじゃ無いんだが.....


 そんな事を思っていると、勇ましい声が響く。


「注目!コレから、貴殿達に重要な話がある。それまでは、戦闘を控え、少々お待ち下さい!」


(.....“戦闘を控え”って、完全に俺たちの事言ってるよな....はぁ.....今日はついてな.....)


 ふと窓に目をやろうとすると、ある人物と目が合う。


「久しぶりだな。アイン」


 俺が歩みながら挨拶をすると、アインの目つきが警戒をするものに変わる。


「そんな警戒するか....?少なくとも君達よりかは何倍も平和な仕事してるぞ?」


「別に仕事は関係ないよ。そんなイカつい装備していたら、注意しない訳にはいかないよ」


 確かに今の俺は、腰に剣二本。背中に大剣一本を装備しているが....言われてみれば当然だな。


「それはそうと、アルロはどうした?それに、見ない顔が一名いる様だが」


「あぁ。アルロは今頃、辺境の島でスローライフでも楽しんでいると思うよ」


「辺境の島.....まぁ良いや。しかし、こんな偶然もあるんだな」


「偶然?」


「知らなくて当然か。コレからする話は....“チラシの開拓地の島に関する事”だぞ?」


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不可死技魔術師の戦い方〜勇者パーティーを追放されたひねくれ土魔術師は魔法で楽々辺境開拓&スローライフ♪をしたかった....ハーレム新人勇者達とひねくれ者の魔術師の問題だらけのクソクソ辺境開拓録〜 赤はな @kagemurashiei

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