魔女と魔王の支配関係

朝香るか

2人の関係性

第1話大魔女と大魔王との支配関係

 この世界は大魔女と大魔王がいる。

 魔女協会と魔王協会が存在し、

 それぞれをサポートしている。


 魔女と魔王の魔力は連動しており、

 100の数値の中で表現される。

 

 お互い100の中で細かい駆け引きをしている。

 恋愛だったり、自分たちの統率力具合だったりを比べたがるものだ。


 大魔女であろうが、大魔王だろうが、

 魔力は変動性であり、変更はリアルタイムで腕輪に共有される。

 どちらかの魔力が88になったら惚れてしまう。

 魔力が100に至ったら死んでしまう。

 惚れた相手は1か月も経たずに魔力が枯渇し、亡くなるのだ。


「惚れるなんてありえない」

 エリエナ・アレクサンドラ。新規に魔女に指定され、魔女歴5年の新人。

 選ばれたエリエナはお披露目会のためにいろいろと準備する。


 ☆☆☆


 吾輩に魔力で勝つなどありえない。

 300年魔力を維持し、時には相手を殺し、生きているカザミ・ベルジュ。


 さぁ、今世紀はどうなることか。


 分厚いガラスから時間だといわんばかりに

 こんこんと合図が鳴る。

 使いのカラスが窓から新聞と招待状を持っていた。


「吾輩は出る気ないぞ」


 魔王も会議ともいえるパーティーに出向かなければならないが、

 新人魔女のお披露目とは。


「行くわけあるまい」

 魔物新聞で見た。

 

 なんとなくきれいな女だと思ったが、まだまだ年若い。

 もっと実力のあるものでなければ勝負にもならない。

 

 世界の均衡などの話をするに及ばない。


 腕には魔力の均衡を図る腕輪を常に付けている。

 数値を常に図るためだ。

 始めはいつも50から始まる。

 腕輪に表示されたのは50。

(つまらん。またいつものようになるのか)


 俺の相手はいつも惚れて身を焦がして死ぬ運命。

 

 世界の均衡を考えるのならば、50前後を常に維持していればいい。

 

 まだ『彼女』を超える魔女は出ていない。

 これからだって出るはずはない。


 ☆☆☆

 歴代大魔女が使っていた古城に入り、おもてなしの準備にかかる。

「来ないですって?」

 会いに来ない魔王に激怒する魔女。

 招待状はほぼ返ってきた。


 出席するかするかどうかの判断は種族様々だ。

 欠席はチラホラとあるものの、

 種族代表としてくるものだ。

「何ですって? お披露目には来るしきたりではありませんか?」


「そうなのですが、

 今の魔王様は別格と言いますか、

 これまでもいらっしゃってはいません」


「はぁ?」

「これからも謁見するつもりはないということでしょう」


 「何年たとうと会わせて見せるわ」

 大魔女はこのまま古城に住んでもいいし、自分の根城を確保してもいいらしい。

 ほとんどの歴代魔女は自分の根城を探すのだという。

「一度にはできないわね」

 根城探しはあとにして、今は準備を進めることにする。


 お披露目会の準備に来ていたバンパイアに協力してもらう。

「あなた、協力なさい」

「なに、くれる?」

「私の血は飲めるのかしら?」

「ああ」

「一口だけ差し上げますわ。

 別室へいらっしゃっていただけますか?」

「血がうまかったら考える」

「……どうかしら」

 血のうまさなんて今まで考えたこともない。

 別室にて手首から血を与える。

 ヴァンパイアに感想を聞いてみると

『旨かったからいいぞ』とのこと。


(ヴァンパイアだけに任せるわけにはいかないわね。

 吸い取られる量が半端じゃないわ)

 デメリットはともかくも、

 別の種族の味方を一人、

 手に入れたと思えばいいのだろうか。

 手首を治療して元の部屋に戻っていった。

 魔王に会う方法を考えながら。







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