お酒を飲んだら大変身!!〜乱パから始まるラブコメ〜

@shousama

プロローグ

「あ〜頭いてぇ」


目を突き刺す様な光によって起こされると同時に酷い頭痛が襲いかかってきた。


「ここは一体どこなんだ?」


頭を堪えながらゆっくりと上体を起こし、辺りを見回すとそこには見覚えのない壁と天井が映し出された。


目を瞑りここへ至った経緯を思い出そうとするが、頭痛が邪魔をしてうまく思考がまとまらない。しかし辛うじて自分が新歓に参加したことだけは思い出した。


「そうか…新歓で酔い潰れたのか…」


見知らぬ部屋に頭痛ときたらこれ以外考えられない。酔い潰れてしまった俺を参加者の誰かが泊めてくれたのだろうと思い安堵する。


今は何時なんだ?


時間を確認するためにスマホを手探りで探した。


ムニュ


そんな効果音が聞こえてしまうような極上の感触を俺の左手が感じた。


ムニュムニュ


なんなんだ一体。このいつまでも揉んでいたくなる様な感触は…


「!?!?!?!?!?!?」


柔らかい感触の正体を確かめるため視線を移すとそこには









全裸の  お  ん  な  だ










俺は今、身に覚えない女の胸を鷲掴みにしていた。


「誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ!?」



手を一気に引き離し、両手で頭を抱えて必死に思い出そうとするが、やはり全く思い出せない。


もしかしてヤっちまったのか!?知らないうちに大人の階段登ったのか!?てかよく見たら俺も全裸じゃねぇか!なんで気づかなかった!


この時既に俺の思考は現実逃避気味であった。18年間守り続けた貞操が突如として消えたかも知れないという喪失感と記憶ないとか勿体無いという残念感が、この状況を素直に認めさせてくれないのである。


とにかく今はスマホだ。もしかしたら俺はなにもしてないかもしれん。


俺がゲロ吐いて服がなくて、彼女が裸族という可能性もなくはない筈だ。


もしかすると俺がヤッテナイ証拠がスマホにあるかも知れないと思い。今度は右手でスマホを手探りで探す。


ムニュ


先ほどとは打って変わって沈む様な感触。


ムニュムニュ


カタカタカタカタカタカタ


俺は恐怖に打ち震えながら感触の元を確かめる。









オ      ン     ナ     ダ









ゼ      ン     ラ     ダ










「ひぃぃ!?」




どうなってんだよ!?こっちにも女が!?まさか二人同時とかありえるか!?いやありえん!!この人もきっと裸族なんだ!!いや下手したら新手の美人局かもしれん!


美人局かもと疑い出したら余計に恐怖が湧いてくる。非モテ童貞クソインキャの俺が全裸の美女二人に囲まれて寝てたとか怖すぎる。





逃げるしかねえ。家族に迷惑はかけられない…



俺は彼女達を起こさぬ様そっと起き上がり、のそのそとベッドを降りようとした。



プニ


柔らかい感触が足元に…



まさか………



もうやだああああああああああああああ!!!



一体俺は何人と一緒にいたんだ!?


まもう流石にいないよな?いないよな?




恐る恐るベッドの上を探すが流石にいなかった。代わりに赤いシミが何個か見つかった気がするが気のせいということにした。


ふぅ…そうだよな流石にもういないよな!


よし!さっさとこんな場所からはおさらばだ。


俺はベッドの脇に脱ぎ捨てられた衣服から自分の物を探しだし手早く着替えた。スマホも財布もズボンのポッケに入ったまんまで助かった。


静かに出口と思しきドアの前に立ち、申し訳なさ半分名残惜しさ半分の複雑な感情をもってベッド方へ振り返る。



 う

  ふ

   た

    り

     い

      た。



俺はなにも見なかったことにして静かにその場を後にした。


ドアから出た場所は短めの廊下でエレベーターが直ぐ近くに見えた。


「こうするしかなかったんだ。うん。こうするしかなかった」


ドアを背にし自分に言い聞かせるように呟きながらこの建物の出口を目指した。











ラブホだったわ。うん。なんか彼女たちに払わせるわけにもいかない気がしたから払ったけど、持ってたバイト代全部吸われた。


















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お酒を飲んだら大変身!!〜乱パから始まるラブコメ〜 @shousama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ